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ツツジ散る躑躅しては残骸を [2015年05月11日(Mon)]

fumihouse-2015-05-11T18_59_16-1-thumbnail2.jpgツツジが咲いている。無様に残骸をさらして咲いている。咲いているのではなくて、ただ落ちていないだけだ。

赤や桃色、白に紫、橙、黄色、斑入りのものまであった。家の花壇や垣根に多く使われ、色濃い緑のもとになる。公園にもおなじみの植物。盛りだった一週間前までは、向かうところ敵なしという風情であったのが、敗残兵のようにしわくちゃに汚れて惨めったらしい。醜態をさらす今時分には「躑躅」と表現するにふさわしいと思うのだ。

躑躅を音読みすると「てきちょく」だそうだ。歩みが進まずもがくこと。躊躇してためらうこと。行きつ戻りつすること。ツツジの残骸が枝と葉に残っている姿は繁栄していたあの頃を寂しく思い出させる。そこまでして敗残の姿をさらすことに無常を感じてしまう。ツツジたちは繁栄を忘れられず落ちることにためらいを感じている。

それに反して、桜の花の潔さはどうだ。開き初めて数日で満開を迎え、開いたそばから散っていく。花が吹雪と散っていく。薄紅の透明感のある落花が地面や水辺を染めていく。落ちたあとも後腐れは感じない。キンモクセイも落ち際が潔いけれども、桜の美学にはかなわない。

(咲き誇ってこの世の春を満喫していた頃のツツジたちは瑞々しくて艶やかだった)