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ああ終わるカフェの会話は楽しめず [2015年04月26日(Sun)]

fumihouse-2015-04-26T23_39_28-1-thumbnail2.jpg中年の男女二人が駅構内のカフェで向かい合って座っている。言葉はない、ただならぬ雰囲気だ。その横では女主人と駅員が、いつもながらの掛け合いを明るく賑やかに交わしている。そこに女の知人がやってきた。無神経にしゃべりまくる知人。それでいて二人の様子を抜かりなくアンテナ張って詮索している。男も女もやるせなく、きまりの悪い時間が過ぎる。ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番がバックに流れる。悲壮なロマンスにふさわしいメロディだ。

『逢びき』は1945年の英国映画である。大人が純愛に遭遇すると結末は悲しいことを示す。甘いも酸いも知る大人だからこそ愛は短時日で深まる。その分別れの悲しみも深い。原題は『Brief Encounter』。偶然の出会いから、週に一度の逢い引き、きわどい密会をも含ませた題名であり興味深い。

物語全体が女の独白で表現される。全てを憶えていたい、良いことも悪いことも過ぎ去ってしまっても、二人の愛の軌跡を忘れまいと、女も男も決意する。小さなきっかけで出会い、好ましい人だと気になり始め、偶然に再び出会って思いが通じ合う。踏みとどまらないと抜き差しならぬ状態になる、今なら後戻りできると二人は話し合う。愛し合うこの気持ちに打ち勝って、それぞれの生活が破滅するのを防ぎたい。その過程で女は、本当の幸せとは何かを考える。愛する気持ちに忠実に生きるのが幸福なのか、それとも一時のときめきに左右されずに堅実に生きるのか。しかし二人とも愛し合う気持ちを隠せない。良心と恋心がせめぎ合い、二人を惑わす。危ない目に遭っても逢い引きすることを止められない。

人目を気にし過ぎて楽しめない。家族を騙しては後悔の念にさいなまれる。吸いたくもない煙草の本数が増える。罪人のような気分になる。自責の念に惨めさがつのっていく。決然と別れればいいのに、それでもやっぱり男に委ねる。「あなた次第よ」と。腕を組んで歩く二人に言葉はない。お茶を飲みながら、「また会えるかしら?」と未練が残る。「心から愛している」と男。惨めに疲れていく女。その女を見て、「君を愛して締まったことを謝る」と男。男は医者の仕事をたよってヨハネスブルグへ移転することに決めた。

二人の最後の時間が冒頭のカフェのシーンだった。別離の苦しさに女はかろうじて耐えた。帰宅した女を癒したのは頼りないはずの夫であった。女ローラは男アレックの思い出を胸に収めつつ、静かな生活に戻れるだろうか。

映画を見る、お茶を飲む、ボートに乗る、車でドライブする、池に落ちて濡れる、友人のアパートで密会する、列車に乗ってみたが分かれがたくて再び逢いにホームを走る・・・・多くの恋のディテールが観る人すべてに感慨をもたらすだろう(別に不倫でなくても)。私にもあんな経験がある、懐かしいと。甘くてはかない恋愛の絶頂を描いた忘れがたい名作であろう。