蕾から一気に燃える花もあり [2015年03月10日(Tue)]
何の花が燃えるのであろうか。どのように燃えるのか。幕末の長州の若者たちが花であり、それを支えた女性たちが華やかに燃え上がった。長州藩の群像劇に興味が尽きない。NHK大河ドラマの『花燃ゆ』のキャッチコピーは「幕末男子の育て方。」。萩の人たちが今もなお「松陰先生」と呼び尊敬してやまない吉田松陰が今は主役だ。
彼に触発されて命を燃やし、尊皇攘夷に狂い動き、攘夷が達成されないと見るや、反対に夷敵たる欧米諸国の力を借りながら富国強兵に突き進んだ長州の面々。薩摩や土佐や旧幕臣の力も糾合して大日本帝国を作ったわけだが、長州の狂信的なエネルギーがあったからこそ、倒幕は達成されて明治政府ができた。その源流となったのが吉田松陰だ。 長州は狂信的な国粋主義ゆえに、尊皇の当体である孝明天皇にさえも嫌われ抜き、徳川幕府や薩摩にも敵対して風前の灯となった。しかし坂本龍馬などの斡旋で力を盛り返した。その劇的な浮き沈みは、幾度もドラマ化されるにふさわしい。その狂信性が数十年後に陸軍を暴走させ(帝国陸軍は長州が牛耳った)、リアリズムを伴わない精神主義で日本を破滅させたことは悔やまれるが、日本が植民地化せず独立国家として歩めたのは長州あったればこそだ。 大河ドラマでは、松下村塾に塾生が集まりだし、熱い学園ドラマの様相を呈してきた。また、杉家の人々が松陰を誇りに思い、財が傾くまで松陰を援助する。鎖国という古臭い国禁を犯し家内に禁錮の身でありながら、杉家のみんなが明るく彼を盛り立てる。塾生を温かく見守る。毎週日曜日が楽しみだ。 |