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美しきただ美を求め百年後 [2014年04月29日(Tue)]

__tn_20140429200458.jpg『ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1960ー1900』を鑑賞してきた。唯美主義とは、百年余り前に英国を中心として流行った芸術活動で、別名を耽美主義という。作品のメッセージ性は置いて、ただ色と形に美しさを求めた芸術思想である。ロセッティ画の『夢の杯』の説明書きにあった表現によく現れている。

≪物語的な主題を再現するのではなく、時代考証にとらわれない装束、背景の装飾的な処理によって、ひたすら視覚的な快をもたらす絵画を追求≫したものであると。要は、古くさい約束事をのがれて、唯ただ美しいものを求めた画壇の面々が創作した絵や調度品、装飾品類が、貴族や新興ブルジョア階級の屋敷を飾っていたのである。

アルバート・ムーアの『花』。古典ギリシャ風の優美な衣をまとう成熟した女性。長いドレスを通しても体の曲線美がくねる腰がなまめかしい。しかし媚びるような卑屈さや嫌な感じはない。意匠を凝らしたブローチやネックレスがステキだ。全体の色合いも実にいい。

同じくムーアの『真夏』はこの展覧会の代表となる作品で、大きな油彩だった。若い姫ぎみが、マリーゴールドの花輪飾りを掛けられた豪華な椅子にもたれかかって、昼寝をしている。白い肌着から透けた肌。上に着た鮮やかなオレンジ色の衣が目を引く。なまめかしくもあるが、その表情は幼く無邪気で眠たさに身を委ねている。左右の侍女は同じオレンジ衣をまとっているにもかかわらず、歳もそれほど離れていない。左の女は心ここにあらず。右の女は哀しい表情をしている。マリーゴールドの花言葉は「悲嘆」を意味するとか。侍女たちが手に持って扇ぐのが日本式の扇子で、金箔が貼られた豪勢なものだ。扇子の色はマリーゴールドに通じ、悲嘆の表現なのだろうか。

昨日の『江戸絵画の真髄 』でも書いたとおり、日本の画と西洋の画では、人物像が大きく異なる。きめ細かいタッチで人物の陰影を描き、人柄や気分まで彷彿とさせてくれる。衣のひだに合わせて心のひだまで描くかのような西洋画に、この美術展でも感嘆した。その心の動きや濃淡に美を感じさせてくれた。

美術展の会場は、三菱一号館美術館。英国の唯美主義が終焉を迎えた19世紀の末に建設された。土佐藩出身の岩崎弥太郎が築き上げた三菱財閥。贈収賄などの醜聞は多いが、日本の近代を造り上げた功績は大きい。その発展の基礎となった一号館が現代に美術館としてよみがえって、丸の内のビジネス街にあることに不思議な感慨があった。連休中の薫風に欅並木の枝がサラサラリと音をたて、涼やかなビジネスウーマンが風をきって歩く姿に百数十年の歴史を思った。