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ホワイトはブラックと違い常に考慮 [2014年03月19日(Wed)]

__tn_20140319182047.jpg『日本一社員がしあわせな会社のヘンな"きまり"2』(山田昭男著,ぱる出版,2013年)は、ノウハウを得ようと思って読むと失望する。だが、いま世にブラック企業がはびこる中で、ホワイトな会社を経営し、その山田イズムを貫徹し続けている心意気を知るには十分である。

未来工業株式会社という電気や給排水、ガス設備や資材を製造販売するこの会社を始めて知った。創業して49年。売上高は250億円、800人弱の従業員を養っている。その山田イズムの一端を紹介すると、次のように信じがたい内容だ。

営業のノルマ禁止/残業は禁止/上司が部下に思想ややり方を押し付けることは禁止/ホウレンソウ(報告、連絡、相談)禁止 /従業員はすべて正社員/改善提案制度では提案を出すだけで500円、いい提案なら最高3万円/5年に一度の会社全負担の海外社員旅行/社員の休日アルバイト解禁/有給を除く年間休暇が140日......。

残念ながらホワイトで理想的な会社の運営方法を裏付ける根拠が示されていない。だから空理空論というか、結局傑出したこの経営者だからこそできたのだろうよ、と思えてしまうのが欠点だ。

例えば、「ホウレンソウ禁止」。どこまで報告と連絡と相談が禁止されているのか、中核の理念は書かれているのだが、では具体的にどこまでなの?と聞きたくなってしまうので、この本にノウハウを求めるのは無益だ。あえて解答を求めるとすれば、「常に考える!」。これではマニュアルにはならない。そもそもマニュアルというものがない会社なのだ。したがって、すばらしい経営者の心意気を感じ、物語として読めば満足できる。

「義務主義」という理念がある。世の主流は「成果主義」。義務主義とはノルマや罰則がない代わりに、≪「会社からこれだけのことをしてもらったら、せめて自分の給料分くらいはがんばらなくてはいけない」、「会社が儲からなければ、自分だけではなく他の人間の分け前も減る。だから、がんばろうと思う」、「会社が儲からなくなれば、今のすばらしい文化や制度がなくなってしまうかもしれない。そうならないようにしなければ…」≫。こうして社員が自主的にお礼をするようにして仕事をしたくなるのを義務主義という。

この就職戦線では、こんなステキな企業に勤めたいという若者がたくさん出てくることだろう。同時に、自分のところもこんなふうにステキにしたいと考える経営者もたくさん出てほしいと願う。