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掛け算はゼロに掛けては永遠に [2013年12月25日(Wed)]

__tn_20131225230026.jpg映画『永遠の0』は三段重ねのクライマックスが見事だった。そして、魂魄を留めるという言葉がぴったり当てはまる物語だった。

祖父・宮部久蔵のことを姉と共に調べ始めた健太郎。彼の年は宮部が戦死したときと同じ26歳。生きることに悶々と悩む青年だ。調査は最初から挫折気味だった。祖父のことをよく言う人はいないのだ。「海軍一の臆病者」「飛行機乗りの名折れ」だと。彼は常々「生きて家族のもとに帰る」とばかり公言していたと聞くと健太郎は折れそうになる。

うんざりし始めたところ、入院中のかつての部下が語り出す。そこが最初の山場だ。飛行技術が並外れていたこと、将来のために生きよと部下を指導していたことを知らされる。次は、古参搭乗員で宮部のライバルだったヤクザ親分が強面で宮部を称えた。聞くうちに祖父のことがわかってくる。一方で謎も深まる。

そして、よもやこの人がと思った人が最後のトリをつとめた。その役を亡くなられた夏八木勲がやった。死してなおも魂魄を留めて愛する人を守ろうとした宮部を語りきった。死を前に役者魂の集大成として魂魄を残した作品であったとも言える。この方、『そして、父になる』でも印象深い。

どんなに飛行機がよくても搭乗員は人間だ、負けるとわかっている作戦では戦争に勝てないのは必然、と合理的に考えることが真っ当とされなかった狂った時代。圧倒的不利な状況は敵愾心と大和魂で乗り越えよ、と精神論がまかり通っていた時代。その時代を甘い感傷でもって振り返ってはいけない。

日本が大きな傷を受けた時代を感傷で振り返るのはたやすい。ひとは物語を紡ぐ。紡がないと生きてはいけない。自分の生きた証を残し、価値ある人生だと感じるために紡ぐ。紡がれた物語は独りよがりの場合もある。反対に謙虚過ぎて物語にさえなっていない場合もある。それを後世に残すのは歴史家の役割であり、小説家の力量にもかかっていると思う。今回の物語は原作が小説で語られ、今回は映像によって紡がれた。映画だから当然なのであるが、ふつうの対話ではそうはいかない。小説の力、映画の力を存分に発揮している物語であったと思う。

永遠はないことはわかっている。家族の談笑も友との語らいも終わりが来る。永遠はない。だのに、つまらぬ行き違いで腹をたて、意地になって対立する。そんな日常を反省する機会ともなる。静かに内省しながら映画を見たり、小説を読んだりするのはいいものだ。