ジンメルはつながり求めて距離保ち [2013年09月04日(Wed)]
朝の列車に読み終えた本を置き忘れてしまった。書名は『ジンメル・つながりの哲学』。社会学者兼哲学者のジンメルが説く近代における人間どうしをつなげる観点。適度な距離を保ちながら良好な社会関係をつくり、協和の組織を形成するための社会論であった。百年以上も前のドイツの人でありながら、今の時代に適合する微細な感覚がある。
自分のすべてをわかってもらうために相手と親密になり過ぎるのは、自分の分身を相手に求めることとなり、関係は破綻する。相手は自己とは違う他者であると認めた上で期待し過ぎずに、自己表現してつながれば幸せを味わうことができる。。。。そんなことが書いてあった。 松江駅で夕方に申告したが見つからない。悔しいが仕方がない。同じ著者の本から引用する。 ≪学生たちにいつも言うのが、「生徒の記憶に残るようなりっぱな先生をめざすことは、必ずしも必要ない」ということです。(中略)たしかに忘れられないすばらしい恩師に出会えた人は幸せです。(中略) 私から言わせれば、先生というのは基本的に生徒の記憶に残ることを求めすぎると、過剰な精神的関与や自分の信念の押し付けに走ってしまう恐れがあるからです。だから生徒の心に残るような先生になろうとすることは無理にする必要はなく、それはあくまでラッキーな結果であ るくらいに考えるべきで、ふつうは生徒たちに通り過ぎられる存在であるくらいでちょうどいいと思うのです。自分が受け持ったいろいろな生徒のなかで、とても幸運なことに「ああ、あの先生よかったな」と記憶に残してもらえたならば、それはもうラッキーこの上ない、満塁ホームランみたいなことなんだというくらいの構えでいいと思うのです。(中略)学園ドラマの先生のようなことをやろうとすると、生徒の内面を無理矢理いじることになるから、それはとても危険なことなんだよ、ということを学生たちには伝えています。≫ (『友だち幻想〜人と人とのつながりを考える』菅野仁著,ちくまプリマー新書2008年) (コメント) 引用されている本を先週読みました。 教師・生徒間、生徒同士で適度な距離感を保ち、良好な人間関係を築くのはやはり難しいですね。金八先生には簡単にはなれません。地道にヒットを打ち続けたいと思います。 作成者 教師3年目 : 2013/9/5 (木) 17:48 なるほど、立派りっぱ。特に生徒間で適度な距離感を保っているかどうかを人知れず確認し、いざとなれば弱い立場の子を守れるかどうかが肝心かもね。ヒットマン、健闘を祈ります。 作成者 学園をとこ : 2013/9/5 (木) 21:29 |