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でくのぼう呼ばれて実は名城代 [2012年11月18日(Sun)]

__tn_20121118201143.jpg成田長親(ながちか)に率いられた『のぼうの城』は決して木偶の坊ではなかった。痛快な戦国映画である。武藏国・忍城(おしじょう/埼玉県行田市)での史実をもとに描かれた。秀吉の名代として石田三成を総大将に擁する連合軍は二万の大軍勢で北条方の忍城を攻めた。忍城は軍勢わずか五百。百姓たちが加わって三千の兵となりはしたが、もはや風前の灯火。戦わずして軍門に下る選択肢しかありえない。

ところが、城代たる長親(野村萬斎)は戦うと決断した。ふだんは「のぼう様」と無能呼ばわりされてはいても、親しみやすい人柄で不思議と領民の心をがっちり掴んでいる。彼の判断は決して木偶の坊ではなかった。忍城の誇りが石田軍に犯されたからである。「のぼう様が決めたのなら共に戦おう」と、領民たちは母性本能をくすぐられる。家臣たちも腹を決め一騎当千の力で敵にぶち当たった。初戦は大勝利。石田軍は何を思ったが、広い湿田地帯に囲まれた忍城を利根川水系でもって水攻めにする。脚本はここで三成の軍略のなさと統帥力のなさを批判する一方、強き者に憧れる実務家三成の庶民性を描いた。長親は自身の身命を賭けてただ一人で石田軍の陣に対し突飛な奇策を畳みかけたのである。そこから事態は急展開する。

この映画がクランクアップ後、しばらくは上映されなかった意味がわかる。水攻めの堰堤(えんてい)を切ったときに、村や城を襲う波は恐ろしく破壊力があった。あの津波を思い出すのである。おそらく現実にはそこまでの津波は押し寄せなかっただろうと想像する。平野に広がった水は、広がるにつれ勢いをなくしヒタヒタと水浸しにする程度だったのではないだろうか。ただし、稲をダメにし畑の作物の収穫を不能にして、城内にこもった武士や百姓は飢えたにちがいない。

主な部将として登場する佐藤浩市、山口智充、成宮寛貴、そして甲斐姫の榮倉奈々がよかった。個性的に魅力的に描かれている。かつ、三成役の上地雄輔と軍のお目付・大谷吉継役の山田孝之がいい味を出していた。野村の長親はNHK教育の「にほんごであそぼ」を思い出して笑ってしまった。武勇などひとかけらもない。全軍を奮い立たせる弁舌もない。ただ一つ、領民と家来のことを想い人気だけは抜群にあった男に、観た人は誰もが応援したくなる映画である。

(写真は松江城天守閣の横に埋めてある建造当時の古い瓦)