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ニッポンと魚食を構築ひととして [2012年11月17日(Sat)]

__tn_DSC_1091.jpg会場の空気は重かった。その重いカーテンを開け放とうとする上田勝彦氏(水産庁加工流通課課長補佐)の元気な声で講演は始まった。『魚と人をつなぎなおす』と題した氏の講演(主催:島根県、ホシザキグリーン財団、宍道湖自然館ゴビウス)を聞くために今日ホシザキ野生生物研究所へ出かけた。氏のバイタリティーあふれた話と調理実演、なによりもその説得力に脱帽した。

漁業者は漁業権という排他的権利をもっているが、魚は本来無主物であって国民の共有財産。漁業者とは、消費者と生産現場をつないで魚介類を届ける代行者といえる。しかし現在魚離れが深刻だ。30年ほど前から進行してきたこの事態は、10年前に肉食と魚食の消費量が逆転して決定的になった。魚の生産―加工―流通―購買―食事という流れが途切れている。従来は年齢を重ねると魚に帰ってくると言われていたが、これからの高齢者は肉を食べて美味しく感じた幼児体験を原点に持つから回帰の可能性は低い。

繁華街には魚を食べさす飲食店が多くなっているのに、どうして魚離れは進むのか。魚食がおかずから嗜好品に変わってきたからだ。嗜好品とは経済情勢や好みによっては真っ先に切られる存在。幼い頃に魚の美味しさを旬の知識などを得ていなければ、いわば味が伝承されていないと、魚離れはさらに進む。日常的に魚に接しなければ、知らないものは買わない、食べない。売れないのは当然のことだ。

食べることは国そのものを作る。アメリカは広い草地に牛を飼って肉主体の食糧文化をつくった。インドは土地が痩せているから穀類や小麦を中心とし雑草を食べる羊を飼った。日本は豊かな森林と肥えた海を背景に極めて長い海岸線を利用して、魚と米と野菜、ときどき肉という食糧生産体制と食文化をつくってきた。朝昼晩、国民一人ひとりが何を食べるかが集大成されていく。だから食べることは国そのものであるのに、魚が中核の位置から外れてしまった。魚をなくすことは日本の国をなくすことと同義。離れてしまった【魚】と【日本人】をつなげるためには、魚の美味しさを紹介する【人】の存在が不可欠。その人への信頼をもとに魚食は良いという情報が広まっていく。ニッポンの食を、もう一度魚で始めてみよう。
   【魚】←←←≪【人】を介した信頼と情報≫→→→【日本人】

30年ほど前まで鰯バブルに沸いた。好景気に沸くバブル時代には中高級魚を都会に流通させたらそれなりに儲かった。だが今は資源を保護・管理しつつ、地域の魚資源の魅力を再発掘していく時代だ。魚は産卵し成長し回遊して再び戻ってきてくれる重要な恵み。山陰には原石の魅力がたくさんある。例えば今日実演したスズキをキャッチフレーズにするとすれば、「スズキは山陰のサケ」。

魚の郷土料理が山陰には比較的少ないのは、十二分に魚介類があったことの反映。今まではそれでもよかったが、魚から関心が離れた現在食べ方の工夫をしていかないといけない。それを「魚ルネッサンス」と言っている。どこへ向かってどんな媒体で伝えるかが大きな課題だ。いっそのこと今日の参加者で「宍道湖魚食文化伝道師協会」をつくって活動してみてはどうか。地域の食材と食文化を高めるためにやる気を出していこう。

お話の概要は上記のとおりであったが、調理の実演も満足度の高いものだった。簡単な手法で魚をさばき、生臭さを取り除く方法や意味をテキパキと説得力をもって説明された。具体的にはセイゴ(スズキの小物)の和え物4種である。

三枚におろして下処理・保存していた切り身(酒や粗塩で臭みを取る)を、茹でてポン酢や長ネギで食べたり、刻んで和える方法。レモン+オリーブオイルでマリネ風としたり、醤油+唐辛子、酒+塩といった和風和え物にする方法を実演された。私たちは新鮮な魚の調理は刺身を思い浮かべるが、刺身とは醤油と薬味との和え物。そのバリエーションを増やせば応用が利き魚の味を楽しめる。これはスズキだけでなく、他の魚肉に使える方法だと強調された。

上田氏は『Re-Fish』の代表であり、その設立趣意には次のようにある。http://www.re-fish.jp/
≪今、経済的あるいは国際的な発展の陰で、日常の食が大きく変わり、
 私たちの暮らしにとっての魚食がもつ本来の意味が、忘れ去られようとしています。
 世の中がどう変わってゆこうとも、私たちが日本という島国に自立しようとするならば、
 魚のおかげをもって生きるほかはなく、日常生活の中で魚と日本人が遠ざかってしまうことは、
 すなわち国の力の衰退にもつながることと危惧しています。(後略)≫

始まりは重かった雰囲気がなごやかに変わった。参加した人は「魚食の伝道師」となり、魚食を輝かせるため自分なりに努力しようと決意したに違いない。

(写真は宍道湖に流れる小川から見た1ヶ月前の朝焼け)