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信頼し委ねて日々は安楽か [2012年11月06日(Tue)]

__tn_20121106231249.jpg団体旅行は気が楽だ。ガイドに言われるままにバスに乗りレストランに入り、下調べをしなくても観光地のエッセンスを楽しめる。かつて海外への団体旅行では、添乗員が全員のパスポートを預かっていたということだ。大切なその鞄が盗まれたり強奪されたりして、一行が路頭に迷うという事件が続き、パスポートは本人が持つという流れになったと聞いたことがある。極めて大切なものを他人に委ねてはいけないという教訓であるが、パスポートを自分で持つということは別の効果もある。ここはお気軽な国内ではない、という感覚を持たせることによって、いざというときに危険から身を守る心構えをつくるという効果である。

わたしたちは大切なものを、しばしば他人やシステムに委ねる。電子メールで重要な情報をやりとりし、ネットバンキングでは一つしかないパスワードを打ち込む。車を運転するときには、自動車が確実に動くことを前提に、青信号を進み、他車が交通ルールやマナーを守ってくれることを当たり前だと思っている。職場では、依頼した仕事は期限内に報告されたり現物が届けられて期待が満たされることを信じている。恋人や家族に愛を注げば愛が返ってくると信じ、友情を信じる。電車は時刻表どおりに運行されると信じ予定を立てる。マスコミの流す熱烈な風説に従って投票すれば人気政党は地滑り的な大勝利をおさめる。こうした委任や信頼はしばしば裏切られて、わたしたちは不幸を感ずる。「しばし ば委ねる」と書いたが、わたしたちは便利な生活を享受する中で、スイッチを押せば明かりが点灯し蛇口をひねれば水や湯が出てくると信じているように、私たちの行動のほとんどは信じたり委ねたりすることによって成り立つと言えるかもしれない。

裏切られて不幸せな気分を味わう程度であればまだましだ。場合によっては生死を分かつことになるならば事は重大である。原発の事故が起こった、尼崎を中心に親族が殺し合う事件が起こった、万里の長城トレッキングツアーでは思わぬ豪雪で死亡事故が起こった。「こんなはずではなかった」というふうに予想外の不運や不注意が重なったときに重大事は起こる。「自分だけは大丈夫」という例の根拠のない楽観が頭をもたげてくれば危なさはさらに拡大する。

では、全ての行動を自分の努力と信念で貫き、他人に関わらせないようにすればいいのだろうか。現代社会では無理である(石器時代であっても集団の協調なくしては生き延びられない)。委ねたり信じることに併せて、適度な注意力を持たなければならない。危ないぞと自分の勘がささやいてきたら引き返す勇気もときに必要である。それでもわたしたちは基本、信じて委ねて生きていく。