いじめは減ったが実態わからず、と文部科学省が発表した。小中高の問題行動調査によると、2011年に学校がいじめを把握した件数は約7万件。前年より1割減ったが「インターネットや携帯電話を使う、昔と異なるいじめもあり、実態として減ったかは分からない」という。
学年別で中1が最多であることは、何を示しているのだろうか。調査では「学校の仕組みや環境が変わり、いじめが起きやすい」と記述している。確かに、6年間の長い小学校時代が終わり、中学ではメンバーがシャッフルされる。小規模校の子は人数の多さにたじろぎ、成績がそこそこ良かった者もライバルの出現に驚き、私立学校と公立の違いも大きい。女の子は心身の成長を加速し、男の子も大人への階段を昇り始める。学業成績もスポーツも自己主張の度合いまで差が出始める年頃で、当人たちはそれを自分の個性だと認識して思い切るにはまだ幼い頃だ。
文科省は、いじめを早く発見して対応するために、アンケートをさらに徹底して実態把握に努めるとしているが、それでいいのだろうか。
教員の仕事は加速度的に増えてきているという。学級は少人数化し、学業関係は外部委託にまわることも多く、少子化の時代でもある。にもかかわらず仕事が増えているのは、事務仕事が多くなっているのであろう。
・研修への出席と自習準備
・環境教育やIT・メディアリテラシー教育、国際理解教育、個人情報保護など新しい業務
・不審者対応
・調査実施と報告書作成
・非常勤教員や職員の増加によって校務分掌が増えるなどのしわ寄せ
・子供への個別指導や保護者への対応
・部活動の指導
それらはコンプライアンスが重視されるご時世であるため、失敗が許されない性質ももつ。となると、時間をかけて対応しなければならない。当然、会議の回数もかける時間も増えてくる。
報道では、いじめアンケートについては精緻に回数も増やしていくという。アンケートでは本音が出にくいということで、心理テストをとりいれるようと検討している東京の区もあるということだ。教員たちにもっと時間を与えてほしい。事務仕事ではなく、子供たちに直接ふれる時間を。