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手仕事よ時を隔てて美術品 [2012年08月06日(Mon)]

__tn_20120806190844.jpg先週、島根県立美術館で開催中の『民藝〜手仕事の美』を鑑賞してきた。

≪「民藝」とは、大正15年に柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司の3人の創始者によって生み出された美の考えで、高級な個人的美術品ではなく、名もない工人達が作る実用的工芸品に美しさを見出し、「民衆的工芸」を略称して、「民藝」という言葉が作られました。≫
  (展覧会主催者のあいさつより)

花鉢、茶碗、湯呑、水滴(墨用の水差し)、文箱、大鉢、小鉢、皿、湯桶、箱、家具、書掛軸、羽織、暖簾、箪笥、椅子、電気スタンド、ネクタイ、文字絵、ピッチャー、壺、瓶、仏像など生活用の品々が並んでいる。木や竹、木綿、和紙、ガラス、陶器・磁器といった素材が、少し古風な手仕事の力によって強い存在感を発している。

これらは「民衆的工芸」である。民衆が平常の生活のなかで多彩な使い方をするのが自然であり、そのころの家庭ではごく当たりまえにゴロゴロしていた品物たちのはずだ。使ううちに芸術的価値を高めるものもあろうが、たいていは使い古されて、壊れ擦りきれ捨てられる。生活様式の変化によって、今やそれか普通に日常的場面で使われることは少なくなり、美術館、博物館の中に陳列されている。そこでは多くの人が観賞することはできても、使用感を実際に確かめることはできない。

品のいい古風な家で使われているうちは、外の人に知られることなく、ひっそりと限定的にでしかない。しかし生きている。博物館で展示されることは、美術工芸品として大事に丁寧に扱われるかもしれないが、すでに死んでいる。実用品としての民藝ではなくなっている。

奇しくも今はロンドンオリンピックが真っ盛り。山陰にゆかりの深い英国人バーナード・リーチの作品もたくさんあった。

リーチは1887年香港生まれの陶芸家。幼少期に日本に長期滞在した経験がある。ラフカディオ・ハーンの著述に惹かれ再来日。柳宗悦らと親交を結び帰英後セント・アイヴスに登り窯を築き民芸作品を創作。以後も度々来日し民芸運動の推進や思想の海外普及に努めた。1979年没。

写真を見ると、長身で面長、口元に髭をたくわえた紳士で優しげな風貌である。移民が増えて、ロンドンのスタジアムには多種多様な顔立ちがあるが、リーチの顔は典型的な英国人のものである。今夜は選手や観客の顔に注目することにしよう。