真夜中に道に迷った青春よ [2012年07月29日(Sun)]
青春はきらめく。反対に奈落も深い。映画『真夜中のカウボーイ』には若さ故のギラツキや退廃と自堕落な欲望が満載してあった。大都会に行けば何かしらいいことがあるだろうと無計画に飛び出していく若者への警告もあることだろう。
テキサスからニューヨークに出たジョー。カウボーイスタイルで女にはもてると自信過剰な若者だ。彼は優しいが、流されやすい。優柔不断とも言える。マダムに体を売ったつもりが、逆にタクシー代をせびりとられ、マリファナパーティーで意気投合した別のマダムからはいくらでも金をむしり取れただろうに、しなかった。そしてティコに騙されたにもかかわらず、彼を守り続け、望んでいたフロリダへの金まで工面する。ギラギラと弱気が交互するジョーを観ているとイライラしてくる。だが、それも青春なのだ。 想像と回想、妄想とフラッシュバックが画面を横断する。特に繰り返し彼を苦しめるかつての恋人の映像。蝶のように優美に舞う女の子ではなかったが、「あなただけよ」と愛を貫くひとだった。が、彼は彼女を守りきれなかった。そのことが彼を苦しめる。もとはといえば、ジョーが親に捨てられ、じじ・ばばに育てられた経歴が影響したのかもしれない。しかし、謎が多くてわからない。 ティコ(ダスティン・ホフマン)が零落し体力が衰えて死相が出てくる様子が圧巻だった。カラ元気だけはジョーに向け続けたが、末路は寂しかった。ジョーはその寂しさを乗り越えて、地に足のついた堅実な青春の道に軌道修正していくだろうか? きっとジョーは強く生きていくと信じたい。 |