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内戦の風と共にと南部かな [2012年06月09日(Sat)]

__tn_DSC_0288.jpg風とともに去りぬ』をこれから観る。原題は『Gone with the wind』。アメリカの内戦南北戦争を舞台にした大叙事詩にして、スカーレット・オハラ(ヴィヴィアン・リー)とレット・バトラー(クラーク・ゲーブル)との大恋愛劇、という知識はあるが、実は観たことがない。勇壮にしてロマンチックなテーマ曲はおなじみだ。4時間近い巨編、楽しみにしている。

【観劇後】
私の想像となんとかけ離れていたことか。スカーレットとレットは最後にめでたく結ばれるのだと思っていた。

スカーレットの永遠の憧れ・アシュレー。その妻メラニーは聖母である。常に他人のよいところを見て、悪い面もいいように解釈し、励ましと温かい笑顔を忘れない。まさにマリアである。物語の根底には「神」がいる。アイルランド移民の父は実務のすべてを妻(スカーレットの母)にまかせ、馬に乗るだけの道楽者。だがスカーレットに土地こそ価値の源泉だと教える。死んだのちも彼女の耳元で神となって故郷タラの土地の価値は永遠だとささやく。

奴隷制度とは牛馬を鞭でたたいて従わせるようなイメージを私はもっていたが、違った。北軍がタラの屋敷を蹂躙して過ぎ去ったとき、黒人使用人が「外回りを世話する者が誰もいない」と言った。オハラ家にとっては危急存亡のとき、皆が飢え死にするかどうかのときにその言葉である。あらかじめ命じられたことの範囲でしか動けない受け身の姿。指示待ちの雇われ根性を奴隷状態というのだと感じた。

スカーレットは奔放で気まぐれで美貌と社交力で男を周りに引きつけ、激しい恋をする。気ままな姫のような自在な愛で男を籠絡したいと思うのか、場内は観客でいっぱいだった。そんなスカーレットに対し、レットは自由な愛を楽しむ一方でスカーレットの魅力にとことん惚れぬいた。彼女の感情が浮き沈みするのも似た者同士と心に収めていたが、最後は諦めた。そして彼女の元から去った。

スカーレットは同時に3つの愛を失った。アシュレーが実は自分を愛していないことを知ったとき、メラニーが死んだとき、レットが去ってはじめて彼を真に愛していたことに気がついたとき。しかし、もとには戻らない。その悲劇を描くのに長いエピソードを積み上げて長い長い上映となったが、今の感覚ではあまりに冗長であり、前半部に比べて退屈した。観客はどう思って観ていたのだろう。

すべてを失ったように見えたが、「明日はある」と素早く気持ちを切り替えていくたくましいスカーレットには舌を巻く。故郷タラの農場の夕焼けが重要な局面では使われていた(合成映像だったのは残念だが)。落日の残照は「凋落」のイメージがあるが(まさしく南部の凋落)、日はまた昇るのメッセージでもある。

何が「風とともに去ってしまった」のか。冒頭の説明書きでは、A civilizationを主語にしていた。圧倒的な近代兵器の物量を背景に北軍が勝ち、牧歌的でヨーロッパ貴族的な伝統、騎士道精神をもととしていた南部の市民社会が追いやられたという意味なのかもしれない。近世社会の終焉とともに、個々の力が露わとなり弱肉強食の近代が始まる。あわせてアメリカを中心とする世界観の始まりでもあろう。