櫛けずりもう来ぬ時よ髪留めて [2012年06月06日(Wed)]
朝の列車に乗るとそばに女子中学生。長い髪を手ぐしで整える。たっぷりとくしけずりポニーテールの髪留めが終わった。次は日焼け止めクリームを手に塗って顔にまんべんなく広げる。腕には白くなるほど塗りたくってじっくり刷り込む。松江に着いた。テニスラケットと鞄を座席の下から取り上げて、彼女はいざ出陣。5年後、公衆の面前で臆面もなく化粧にいそしむレディの姿が目に見えるようだ。なにげない一日に出合ったヒトコマの光景だ。
仕事を始める。メールをチェックして対処する方法を考え、必要ならば人と相談する。来客があり対応して笑顔で送り出す。試行錯誤しながら書類をつくり一段落したらお茶を飲む。これも毎日繰返している一日のヒトコマだ。 今日は再び太陽に注目する日。金星が地球に内合して重なった。朝7時30分、太陽の9時の位置に黒い円(肉眼ではホクロにしか見えない)が見えた。数時間にわたって金星の点は位置を変え続けた。次は百年以上もたたないと同じ現象は地球から見られないという。地球より少々小さい金星が、地球の前を点となって横切る。 これは日常のヒトコマというわけにはいかないが、同じ時間はもう戻らない。繰返しだと思うのは錯覚だ。かけがえのない貴重な時は刻刻と過ぎていく。 |