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恋愛に夢とうつつを重ねつつ [2011年08月02日(Tue)]

100年以上も前のパリを舞台にした名画『天井桟敷の人々』を観てきた。

「愛し合う者同士にはパリも狭い」という女たらしフレデリックの台詞が3回も出てきたように、実に男が女に言い寄ること。いい女の歓心を買おうと徹底的に男はくどく。甘い言葉をささやき、独白する。ときには激情も込めて修辞のテクニックを駆使する。対句、誇張や冗語、詩の朗読のように。ときには遠回しに、またズバッと直球も。もちろん詭弁や嘘だってたくさんある。緩急自在に手練手管の限りを尽くしていく。言葉だけでなく、ジェスチャーも目も表情も存分に働かせて。

口から生まれたようなフレデリックはもちろんのこと、口べたでシャイなバチストまで自分なりの手法で女をくどく。

そして褒める。いえ美しくなんてないわ、と謙遜されても切り返して褒める。歯の浮くような言葉であっても浮いていない、浮かせない。照れずにきちっとまとめるところは、さすがフランス人。

天井桟敷(入場料が安い)の庶民は劇場の中で楽しみ、ブーイングも浴びせながら笑いを求める残酷な存在だ。劇場外では、役者が世間のゴシップにさらされるのを観ては喜ぶ。庶民は娯楽に飢え、群衆は祝祭的なにぎやかさを好む。

天井桟敷という場に情け容赦ない庶民のエネルギーを代表させていたが、エンディングの街のカーニバルでも群衆の無責任で巨大なエネルギーが噴出した。

そこに挿入されたバチストとガランスの別れのシーン。夢を現実のものにすることを望んで、まさに夢見て現(うつつ)を抜かそうとしたバチスト。現実は妻子があり、無言劇の人気役者稼業があるにもかかわらず、現を忘れてガランスと暮らそうとした。

一方で、夢は美しい夢のままにしてバチストと別れて現を生きようとした年上の恋人ガランス。愛し合うという気持ちは同じでも、二人の夢と現は正反対だったのが印象的だ。

何かを求めて一所懸命になればなるほど、世間の好奇の目にさらされ幸福を得られない役者たち。覚悟を決めて恋の想像の翼を広げ続けるか。それとも過去の思い出に浸りつつ現実を生きるのか。中途半端を恐れてはいけないよ、と映画はいっているのかもしれないが、バチストが恋に没入しすぎるところは、私には少し冗長で鬱陶しく思えた。暇つぶしにはもってこいだが、人生の糧にはならないと感じる。

だが当時、天井の真下に垂直にある席に陣取って、手すりに乗りかかり、酒瓶を抱えて騒げば、ウサを晴らすことができたのだろう。