しっぽりと夏の椿の朝なれば [2019年06月17日(Mon)]
夏椿が咲いている。花や葉の形は椿に少し似ていなくもないが、咲く時季が違う。椿はまだ寒い早春で、夏椿は梅雨時分。椿の花びらは厚いが、夏椿は薄く、ちりめん状で好ましい。照葉樹の椿の葉は照り輝くが、夏椿は薄くて紫陽花のようだ。ついでに、夏椿の幹はサルスベリのようにすべすべして気持ちよい。
夏椿は沙羅双樹とか、沙羅の木とも呼ばれるが、釈尊が亡くなった場所近くに生えていたという沙羅双樹は、全く別の熱帯樹。花はこんなに優美ではない。儚く見える夏椿を見ていると、諸行無常を感じないでもない。 祗園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 娑羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす おごれる人も久しからず 唯春の夜の夢のごとし たけき者も遂にはほろびぬ 偏に風の前の塵に同じ(平家物語の冒頭) (今朝撮影した夏椿。花びらがしっぽりと濡れた感じなのはもちろんだが、蕾もまた細やかな雰囲気を醸し出す) |