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ホテルにて仮面で舞踏錯綜す [2019年02月03日(Sun)]

fumihouse-2019-02-03T16_09_38-1-thumbnail2.jpg映画『マスカレード・ホテル』は緊張感を保った。眠たくはならなかった。一つには超一流ホテルスタッフのキリッとしたたたずまい、豪華なエントランスに始まり、居心地のよい客室で厚いもてなしを受けている錯覚があったからであろう。気分が良ければ眠くならない。

二つ目は、ホテルの利用客は非日常の場で仮面を付けている。素性を明らかにせず、本性を隠し、本心を表さない。仮の姿で身を飾り、ある者は悪心に踊り、密会を楽しむ。それぞれの仮面舞踏会(マスカレード)が興味深く描かれていたからだろう。非日常で扮装すれば眠くはならない。

三つ目は、プロ意識に裏打ちされたプロの技がみられたからだろう。出会ったときから丁丁発止と火花を散らし、対立関係にあった刑事・新田とフロントクラーク・山岸だったが、職務精神や洞察力、技能に互いが舌を巻き合う。感銘を受ければ眠くはならない。

ホテル利用客は仮面をかぶっている。そのなかで仮面を被った予告殺人犯を捕まえることができるのか。新田は「客」の仮面を剥がそうとし、山岸は「お客様」の仮面を守ってさしあげたい。立場の違う二人は衝突してばかりだったが、尊敬の念から価値観を共有しあうようになる。

二人が真に信頼以上のもので結ばれるのは、事件の核心に至ったときだったが、ここまでにしておこう。原作小説とは違う設定に替えてあったが、その良さを十分引き出した映画であった。

(高級ホテルの日本庭園に設えられた石灯籠もまた高級な素材を使っていることだろう)
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