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男女にはかけがえのなき人になる [2011年11月19日(Sat)]

20111119223211.jpgコミュニケーションの密度や度合いが高まるほどに、人と人との物理的距離はゼロになるまで縮まる。つまるところはマイナスにまで。憎さが極まるとき、パンチは敵の頬をえぐり、ナイフは内蔵を切り裂く。それは我が身の損傷ももたらすゆえに人は飛び道具を考えた。さらに火器を強力にし、ミサイルによって遠くから敵を攻撃する。効率的側面だけでなく、悶え苦しむ人間の姿を目の当たりにしたくないという心理だと思う。

親しい関係ではどうか。親密になるほど身体的接触の回数が増え、肌を接するようになる。すなわち距離がゼロになる。特定の男女であれば、マイナスとなり一つに同化する。フランス映画男と女の英語題は『A man and a woman』。特定されない男と女どうしが、出会ってからわずか2週間で、かけがえのない存在になっていく過程を紡ぐ物語である。

赤ずきんの童話を娘に話す美しい女(アヌーク・エーメ)の映像で始まったこの映画。男は女の美しい横顔のとりこになった。しかも、豊かでなめらかな髪を指でかきあげる仕草に心底惚れてしまったのである。

なぜか二人が会うときには雨がつきものだ、二人を仲立ちするかのように。過去を洗い流す雨、今の気持ちや期待を研ぎ澄ます雨だ。直線的に結ばれるのではなく、回りくどい。長いエピソードが描かれた。死んだ夫のこと、死んだ妻のこと、男のレーサーとしての仕事、モナコのモンテカルロへの耐久レースの長い顛末。二人は3千キロを隔て、想い想われ愛を昇華させた。

セピア色の場面が多用される。当人たちにとって夢のように、ある面気持ちが地に着かなかった時間を現している。けれども幸せがいっぱいの場面だ。雨の道中、寄宿舎にいる子どもたちと別れた帰りに、愛を確信した男が助手席の女の手を握る。女は、それまで夢見る目つきだったのだが、リアリストの厳しい目に変化する。「あなたの奥さんのことを話して」と。

やがて肌を合わせ結ばれた二人。寄せては返す潮騒をバックに絶頂を迎えるはずが、なぜか女は冷めていった。亡夫と紡いだ愛の軌跡が頭をよぎり、思い出で心が埋め尽くされたからだ。重ねた愛の歴史の前に、今の愛は一時の情動にしかすぎないと気がついたからだ。

そして二人は関係を絶った。ジャンは車でパリへ、アンヌは列車に乗り換えてパリに向かう。別れたと思い切ったはずのそれぞれであったが、二人は空間を隔てて再び相手を想った。二週間という短時日でも、かけがえのない愛の歴史であったことにアンヌとジャンは気がついた。パリ駅プラットホームで二人は愛を一つに束ねた。抱き合った途端に二人の輪郭の外にある景色が消え、二人だけが浮き上がって映画は終了。1966年当時の技術だから稚拙な映像だが、二人の一体感を見事に表現している。

ノルマンディ地方の海岸、冬の厚い雲間からさし込む日の光。雲はところどころ淡いピンクに染まり、夕焼けの頃の柔らかい光景。日本海側の冬、ときおり穏やかな天気が続いたときの景色に似ている。その光景を長回しした映像がすばらしい。4人の家族(将来の)が広い砂浜でたわむれる。可愛らしい二人の子どもたちも含め、この上ない奇跡の映像だと思った。また、浜辺を走り回っていた犬。彼と彼女の高揚する感情そのものを象徴していた。

シャンソンの甘さとボサノバの軽快さを盛り込んだ「ダーバーダ〜ダバダバダ・・」という有名なフレーズ。誰もが知っているフランシス・レイの音楽だ。恋にときめくときはテンポよく、二人の心理を深めるときはゆったりと流れる。

人の心は多種多様、特に恋は。エピソードを映像で語るときに独特のもどかしさはあったが、それは揺れ動く恋愛が行ったり来たりするときの歯がゆいじれったさを意味している。安心して観ることのできる心地よい映画だった。
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