絶世の春を求めて冬過ごす [2018年12月18日(Tue)]
早くあの美女に逢いたい。心を奪われ、緩やかな風に吹かれて、めくるめく陶酔感にボーっとなりたい。温かい花の波に洗われて、厳しかったあの頃を忘れよう。
≪梅が咲き、山茱萸(サンシュユ)が咲き、辛夷(コブシ)が咲けばじきに、めくるめく桜の洪水が押し寄せる。日ごろ花を賞(め)でる心のない人でも、さすがにこの季節ばかりは気もそぞろになる。桜という絶世の美女に誰もが心奪われる≫ (「花のしたにて」浅田次郎,集英社文庫『まいっか』) 暖冬というが、冬はやっぱり寒い。体は凍え、指はかじかむ。温かい室内から寒風に吹かれれば、気持ちが怯む。夕方の光はいくぶん明るくなったものの、朝はますます遅くなる、寒くなる、起きられない。早く春よ来い。桜というあの季節の絶世の美女よ、咲き誇ってくれたまえ。 (春の雑草も、美女ではないが、それなりに美しい |