姫のおとなしくして殿ドキリとす [2018年03月22日(Thu)]
『音姫』
TOTOが発売してからもう三十年になろうとしている。正式な名称はトイレ用擬音装置。浦島太郎を竜宮城へ誘い、恋と宴に明け暮れた若く美しい乙姫。その乙姫が語源なのかどうかは知らないが、乙女は恥じらいに満ちている。だから用をたすときの音に恥じらう。見事なネーミングだ。 近頃は男性用も見かけるが、わたしは使ったことがない。自身が発する音を消す必要、というか羞恥を感じないからである。ともあれ、排泄に伴う音いっさいがっさいを消し、節水に大きく役立つ。偉大な発明である。 当初はトイレの流水音だけだったのが、渓流のせせらぎ音、あるいは小鳥のさえずりまで加えて進化しているという。トイレは居心地のよい空間に変わった。日本女性デリカシーに応えた見事な製品であると思う。 (乙女の奏でる音楽を想像させてくれる純白のシクラメン) |