ゴーリーの不思議なヒミツ楽しんで [2018年01月20日(Sat)]
シュールだとは思わない。非現実的ではあるけれど、イラストや挿し絵とはそんなもの。ユーモアだとも思わない。ひとをほっこりさせて、いいね!とうなずかせる絵ではないからだ。謎めいて、不思議いっぱいで、陰惨にそこまでなにも描かなくても・・・と思わせるのがゴーリーの世界。益田のグラントワ(石見美術館)で『エドワード・ゴーリーの優雅な世界』に浸ってきた。
極細のペンで緻密なモノクロームの線。幾重にも重ね合わせて重く暗いタッチの絵ができあがっていく。「うろんな客(Doubtful Guest)」が気になった。うろん(胡乱)とは、胡散(うさん)くさくて怪しいこと。そして、不確実で乱雑なさま。白いスニーカーを履き、縞々のマフラーを二重に巻き、鼻と口は尖って恐竜ヴェロキラプトルのようだ。手は長く指先は先細になっている。その客が家に居着いている。 ふと見れば 壺の上にぞ 何か立つ 珍奇な姿に 一家仰天(訳:柴田元幸) 韻を踏んだゴーリーの詩を全編にわたって五七五七七の短歌形にした柴田氏の詩心&遊び心が楽しい。 遊び心といえば、キャプションの文字に時折黒地に白抜きにされた文字があった。それをつなげると学芸員の遊び心が見えてきた。 【ゴ】【ー】【リ】【ー】【の】【ユ】【う】【が】【な】【ヒ】【ミ】【ツ】 (ゴーリーがハーバード大在学中に母宛てに送った手紙の封筒。ゴーリーの自筆絵。一番のお気に入りをスケッチしてみた) |