花に酔い春に揺られてヨーイヨイ [2017年03月12日(Sun)]
花といえば桜。なかでもソメイヨシノに心躍らせる。開花予想が出て(今年の松江は早くて3月28日)、つぼみが膨らむと桜木の小山にほんわり灯がともる。そして一斉に開花する。葉っぱの緑は花の後だから虚と実のコントラストが著しい。
桜はなぜこんなに慕われるのだろう。誰しも開花を待ち受け、マスコミが経過を報じ、期待を高めて待ち遠しく思う。 卒業や入学、入社。人生の大切な節目に咲くのは大きな要因だ。祝ってくれるかのように咲いて深い印象を残す。 一帯で揃って口裏を合わせたようにして開花するのも不思議だ。枝の先の先まで花が咲き、幹からもボリュームたっぷりに咲く。こんなデラックスな花は少ない。 染井吉野は淡い薄ピンクが柔らかで幽玄な雰囲気を醸し出す。青空の下では花が匂いたつように輝く。曇天であっても辺りを明るく照らしていく。 満開とともに散りはじめてハラハラと風に乗るのが日本人の美意識にあっている。花吹雪となって散り乱れると、私たちの気持ちもかき乱れる。それがまた妖艶でもある。清楚な様を見せながら実は妖美なところに心引かれるのだ。 あっという間に過ぎた正月からの3ヶ月を振り返り、新学期や新年度の新生活に期待し(不安を含め)、来るべき夏に思いを寄せるのである。桜は日本人の原点だ。 さまざまの 事おもひ出す 桜かな 松尾芭蕉 (桜ではない。春の代表選手フキノトウ。見ては爽やかに春を歌い、汁物に入れると香り高い) |