イジられて切羽詰まってどこへ行く [2017年03月09日(Thu)]
自殺対策基本法は平成18年につくられた。毎年3万人を超える方々が自殺する現状を打開するために、「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し」た。対策が功を奏したか、平成24年以降3万人を割った。とはいっても昨年も2万2千人弱が自ら命を絶った。交通事故死が昨年は4千人弱。交通事故死の5倍以上という驚くべき数字である。交通事故はいわば突然死だが、自殺は悩み抜いて八方ふさがりの結果選択される死だ。ご本人の苦しみや、肉親の悲しみたるや計り知れない。
原発事故により福島から横浜に避難してからイジメを受けた中学1年の男子生徒が手記を公表した。この生徒は小学生当時の手記も公開している。「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」と。いたいけで涙を誘う。根拠のない差別は理不尽だ。 バラエティ番組の影響は大きいと思う。ドタバタで笑わすのみならず、ドツく、タタく、強要する。言葉でイジリ倒して低くおとしめて笑いをとる。このパワハラを見て不快に感じる人も多かろう。いたいけな子どもがそんなギャグを学習し続ければ先は見えている。イジる、イジられる関係。芸人ならばその特異なキャラを笑い飛ばし、頭を小突いていればよい。彼らは仕事なのだから。 子どもはそうはいかない。何をイジるかいうと、差異である。ふつうの子と違った何か。福島県から逃げてきたという状況は格好のネタになるのかもしれない。最初は軽い気持ちでも、やがてエスカレートしていく。集団意識も手伝って、人権無視の振る舞いとなり、あとには引けなくなる。助ける人が周りにいなければ切羽詰まるのは道理だ。 文科省は学校に対して、早期発見の取り組みを促す。特に長期休業後に多い自殺に神経をとがらせる。24時間子どもSOSダイヤルなど相談窓口を用意し、ネットパトロールにも予算を相当割いている。3月は自殺対策強化月間で各省庁、地方自治体、関連団体が一丸となって自殺予防に取り組んでいる。 それでなくてもストレスの多い子どもたちの現実。卒業、入学、進級など環境が激変する春3月。子どもたちよ、無事であれ! |