しゃべくりは聞いて始めて完成す [2016年12月12日(Mon)]
明石家さんまはしゃべくりの天才。これは誰もが認めること。ゲストをネタに自由自在に喋りまくり、会場を笑いの渦に巻き込む。彼は実は聞く天才だと知ってました?
さんまをネタにして青少年育成アドバイザー養成講座のワークショップをリードしてきました(日曜日の午後)。題して「明石家さんまになってみよう」。 さんまのトーク番組がなぜ面白いかというと、ゲストに面白いことを言わせるのです。彼が聞き上手だからできることなのですが、相手の特徴を見事に引き出します。 どう引き出すか。まずはオーバーなアクションです。歯をむき出して大声で笑うことも含めて実に動きが大きい。表情も多彩です。出演者はあぁ聞いてくれてんな〜と思うでしょう。「うそ〜ホンマ?!」「それはないやろ〜!」は、さんまの魔法の言葉です(彼の口から出て始めて魔法ですけど)。ゲストは自信をつけて口が滑らかに動いていくのです。 さんまは多くの相槌を使い分けます。大きくうなずいて、「うんうん」「ほぉ」「はいはい」。うながしたり、リフレインも多用します。「へぇー、それからどうしたん?」「なるほど、つまり○○なんやな?」。 相槌がうまいから話が盛り上がるんですね。打てば響き、話に厚みが加わります。ゲストは魔法にかかってのりまくります。スゴいですよ。明石家さんまは自分も楽しみ、余裕綽々でゲストも視聴者も楽しませてくれるのです。話の区切りがくれば、オチがついて笑いでおさめる。天才と言わずして何というのでしょう。 ワークショップでは、みんながさんまになったつもりで話を聞きました。みんなに振り返ってもらって気がついたのは、やはりさんまは天才であること。オーバーアクションして聞こうとすると話が頭に残りにくいのです。自分のアクションに気をとられてしまって、頭がお留守になってしまう。聞くことも、アクションも両方できて、なおかつ笑いも取れるさんまは天才です。みな納得。 さんまの対極もやってみました。難しい顔でうなずくことなく、無反応を貫くのです。場の雰囲気がギクシャクしました。古いタイプの日本男児の典型でもありますが、意外にも話に集中することができたのです。話し手に申し訳ない気分になるのは確かですが、慣れない所作をせずにジッと耳だけを傾けているのは意外に楽チンなんです。 家族関係にもつながることですが、聴くときは聴く姿勢で「時間をプレゼント」してあげてと、昨日の相談・助言講座の講師さんもおっしゃっていました。聞くときはちゃんと聞く姿勢で話し手に向かいたいね、とその場の男たちはおもったのでした。私もいい気づきをたくさん得ることができたワークでした。 (さんまのしゃべくりは水のように変幻自在。あるときは蓮葉の上で丸くなり、またあるときは雨水となって畑を潤す) |