ほーほーとホタル記念日祝う夜 [2016年05月25日(Wed)]
知らぬ間にホタルが袖口に止まっていた。ツンと焼ける臭いで、シャツが燃えるのに気がついた。ホタルのせいだ。火の粉が肌に落ちかかって熱い。反射的に腕を払い火から逃げようとしたのだが、ホタルは私の二の腕に自分の尻を擦りつけて肉をジリジリ焼け焦がす。点滅している。ウルトラマンのカラータイマーのように強く速く危険を告げる。叩いた、落ちた、足で地団駄を踏み、ホタルはつぶれた。火傷が最小限ですんでホッとした。ホタルは恐ろしいヤツ、怖い害虫だ。
蛍は柔らかい光をゆったりと点滅させる。ゆっくり飛んで、手を丸くして柔らかく捕まえてやることができる。手のひらを広げると皮膚を照らしながらちょこちょこ動き回る。ふっと高く飛び立つと夜空の星に同化してしまいそうだ。可愛いヤツ。守ってやりたくなる。誰も害虫だとは思わないし怖がらない。 月曜日23日に夜のウォーキングをしていると、ライムライトの光を放ち、飛んできたホタル。そうだ、この日は我が家のホタル記念日。この夏初めて見る蛍の光。 ほー・ほー・ほーたる 来い♩ あっちの水は、にーがいぞ こっちの水は、あーまいぞ ほー・ほー・ほーたる 来い♩ 童謡『ほたるこい』は、蛍の「ほ」と、光り方の形容「ほ」を掛けて歌っている。ホッとする「ほ」も含ませた的確な表現だと思う。「パ」だと明る過ぎるし、「ポ」だと動かず留まっているイメージとなる。「カ」では怒りに頭が燃え盛りそうだ。ゆっくりと歌うように蛍が飛んでいく。日本の夏が始まった。 (蛍の光ではない。踏鞴(たたら)の里・菅谷高殿の格子窓から射し込んできた西日) |