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八月のたゆたう鯨に老い思ふ [2015年08月08日(Sat)]

fumihouse-2015-08-08T21_41_23-1-thumbnail2.jpg鯨が近海を優雅にたゆたう。人間の営みなど意に介さず、自分たちの時間を過ごし彼らの季節をくり返す。毎年八月になると沿岸にやってきては姿を見せるその営みが老姉妹を楽しませてくれる。姉妹はアメリカメイン州にある、大西洋に面する入り組んだ美しい島に建てられた瀟洒な家で暮らしている。

映画『八月の鯨』には年配者しか登場しない。老姉妹の生活は、時間も動作もともに動きがゆったりとして、鯨の泳ぎをハイスピードカメラで写したように穏やかだ。映画館は冷房がきいて心地よい。始終ゆったりと背もたれに深く体を沈めているうちに、油断して私はうとうとしていた。この暑さに疲れた体を休めるにはちょうどよかったのだ。

姉のリビーは目が不自由で、妹セーラが世話をしている。セーラは寄る年波にも負けずに常に動いている。リビーの世話やバザーのための作業にいそしみ、訪問してくれる友人たちにも愛想がよい。今を楽しみながら精を出して毎日を暮らす。夫が生きていた若い頃には戻れないけれど、今は今として老いさらばえることと静かに戦っている。

一方で目が不自由なリビーは刺々しい。自分に腹を立てていたのだろうが、皮肉ばかりをセーラにぶつけている。さすがのセーラも堪らない。老姉妹の共同生活は破綻しかかったのだが、リビーは幸いに心を入れ替えた。

別に劇的な変化が起こるのではないが、リビーは海側の壁に大きな窓を取り付けることに同意した。八月がきて鯨の姿が直ちに見えるよう、以前から勧められていた。セーラはそれを希望していたのに、リビーは頑として反対していたのだ。老いることは必然でそれを養う覚悟が、リビーにもできたのだと思う。老姉妹は晩年を静かにたゆたう海を眺めて過ごすことを決めたのだ。
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