海岸と空に目をあて朝と夕 [2014年07月08日(Tue)]
山陰本線を出雲から石見へ。浸食されて切り立つ断崖絶壁を列車は駆け抜ける。大正から昭和にかけて建設されたトンネルをいくつも越え、トンネルのようになった木々の緑を抜け、最後の暗がりから大田市・波根に到着する。少し高台となった路線から見る波根の街は輝くように、そこにある。赤茶色の石州瓦が目に飛び込んでくる。夏の青い海がそこにある。刷毛ではいたような雲と羊雲が混在する青い空がそこにある。
小さな入り江が湾曲して右にカーブして行く先には何万年もの年月波浪に削られた断崖がある。絵になるなあ…。やがて列車が波根駅に到着すると、幾人もの邇摩高生が乗り込んでくる。こちらは出雲からひとつ世界を飛び越えて旅をしてきたような感覚をもっているのに、彼ら彼女らは乗ったばかりで初々しい。友達どおしでおしゃべりに夢中なり。旅の感覚はあれよという間に消え去って、列車は進んでいく。今日も一日が始まった…。 帰りに再び波根駅に朝とは反対側から目をこらす。萩市・須佐にあるホルンフェルスとまでは言わないけれど、砂岩と泥岩が交互に縞模様となって見事な地層景観。湾曲して斜めに傾いているのも一興だ。 湿り気の多い空気。台風8号が沖縄地方を襲っている。嵐の前の静けさか、やけに静かな海だ。ベタ凪ぎといってよいだろう。たなびく雲、渦巻く雲が合わさって空はいつになく美しい。白い雲、灰色の雲、牡丹のような雲…。それぞれが夕焼けに染まっている。淡い橙、濃い橙色。断崖絶壁と夕景美。とても得した気分なり。一日の役目を終えた太陽が、おやすみモードになっている。台風の被害が出ませんように…。 |