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5-18 仲間を集める秘策 [2011年08月24日(Wed)]

結局、ぼくが懸命にネットで探してメールを出しても
賛同してれた現職議員は20名に届かなかった。

むしろ、他の6名の侍の方が、
たくさんの賛同者を集めていて
ちょっと恥ずかしかった。

つまり、政治家よりも
官僚、経営者、ジャーナリスト、
エンジニア、農漁業、医者...の中に
このままじゃ日本は大変になると
活動を始めた人が多かったんだ。

それでも、全部合わせて、
200人にもならない。

このままじゃ、国会に
乗り込むこともできない。

その時、無口そうに見える若き戦略家
サカモトさんが口を開いた。


「ぼくに、仲間を増やすためのイイ考えがあります。」


他の6人は耳をそばだてた。


「ゲームを使うんです!」


みんな驚いた顔をしている。

もちろん、ぼくも驚いた。


「実は、ニッポンサイコーという
 ソーシャルゲームが、
 ひそかに流行っています。

 このままでは崩壊してしまう
 日本を救うための戦略を争うゲームです。

 このゲームを上手に戦っている
 志が高くて知恵のある人たちを
 仲間に引き入れようと思います。

 そして全世界に呼びかけてもらいましょう!」


え、ニッポンサイコーのゲームの中に
ニッポンサイコーがでてきた!

どういうことだ?

侍たちも、きょとんとしている。

サカモトさんは、そのゲーム画面と
上位プレイヤーのプロフィールを
見せながら説明を始めた。

日本が直面している現実とリンクした
難問の数々が次々に現われる。

プレイヤーは即座に
決断しなくてはならない。

 「おお」

侍たちは声を上げた。

現在の上位にいるプレイヤーの多くは、
この手のオンラインゲームには珍しく、
実名もプロフィールも公開していた。

そして、ネットワーク上でも
さまざまな発言をして注目を浴びていた。

年齢、性別、職業もバラバラだけど、
みんな、いい顔をしている。

そして言葉にも力がある。

なるほど!
いいかもしれない!

みんなが納得した顔をした後で、
サカモトさんは驚くべき告白をした。


 「実は、このニッポンサイコーというゲームは
  ぼくが作ったのです。

  役所勤めで情報や知識を吸収しながら
  夜なべして。」


えええええ?!

ふだんは驚かないはずの侍たちも
さすがに驚いた様子だ!


 「笑われるかもしれないけれど
  ニッポンを変えるためには、

  1人でも多くの人たちに
  その道筋を理解してもらわなくてはなりません。

  そして、自分の力で問題を解決しながら
  ニッポンを復活させる本当のゲームにも
  積極的に参加してもらわなきゃなりません。

  さらに、今の政治家や官僚より賢い
  特別な人材も探す必要があります。

  それには、爆発的に普及が進んでいる
  オンラインのソーシャルゲームを流行らせるのが
  一番いいと思ったのです!

  もちろん役所のみんなには
  秘密ですが...」


ぼくは、サカモトさんの
新しい発想に腰を抜かした。

普通なら、役所の色に染まって楽をしてもいいのに、
ひそかに、そんなことを...


 「このゲームは成長するゲームです。

  今起きていることを、
  新たなイベントとして追加できますし
  登場人物を書き加えることもできます。

  そして、新聞やテレビで騒がれている
  政策を、実際にゲームに入れて
  シミュレーションすることまでできます。

  だから、ゲームを楽しみながら
  どうやって日本を変えていけば良いか
  体感できるのです。

  今の日本人は、
  どこの政党が政権を取ろうと
  誰が首相になろうと
  結局、日本は変わらないと思っています。

  でも、日本は変えられます。

  だから、自分たちの手で
  ニッポンサイコーできることを
  ゲームで学び、体感してもらいたいのです。」


残る6人の侍は、
即座に何をすればいいか理解した。

このゲームを、一人でも多くの人に
楽しんでもらえばいいんだね。


 「まずは、私たちもゲームを楽しもう」
 「仲間たちにも、すぐゲームを始めてもらわなきゃな。」
 「楽しんでいる様子をクチコミ、ネットコミで広げればいいな。」
 「被災地の子供たちにゲームができるスマートフォンを配ろう。」
 「スポンサーを募って賞金を出そう。表彰式も必要だ。」
 「上位プレイヤーを、マスメディアで取材して有名にしよう。」


みんなで盛り上がったところで、
サカモトさんが一言だけお願いをした。


 「でも...なるべく、私たちは表に出ないようにしましょう。
  自然に広がって、盛り上がってくれるのが理想なのです。

  出会うべき人には、きっと出会えるはずですから。」


みんなは静かにうなづいた。


 「出会うべき人には、きっと出会える。」


この信念は、みんなに共通していたんだね。

この時、まだ、7人の侍たちは、
福島原発の近くで育った7人の子供たちが
とても重要な役割を果たすことを知らない。

でも、時代を動かす歯車は
少しずつ噛み合いながら
音を立てて回り始めていた。

ゲームの中でもワクワクするのだから、
当時は、新たな大転換が始まる
面白い時代だったんだね。きっと。
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コメント
[出会うべき人には、きっと出会える。」とても素敵な考えだと思います。
出会いは偶然にみえて、必然性があって、人と人をつなげていくのかなとも、思います。
Posted by: tomoko  at 2011年08月25日(Thu) 00:40