1-04 不思議なオブジェと世界遺産 [2011年05月02日(Mon)]
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「まるで絵本みたいだね!」
ぼくの一言に、父さんは、にっこりしながらうなずいた。 里山に囲まれて、田んぼや畑がきれいに並んでいる。 田植えはまだだったけど、並木道が縁取りをしているみたいで美しい。 そうか、電柱がないんだ。 それだけで、村全体が美しく見える。 「あれ? …なんだろう?」 ぼくは、父さんに指を指して尋ねた。 田んぼや畑のところどころに、不思議なものが建っている。 色も形も少しずつ違うみたい。 並木道にも、何本かに一本ずつ建っているんだ。 懐かしいけれど、どこかが違う。 見たことがあるような無いような新しい風景に見えたのは、 不思議なオブジェのせいだと気づいた。 「はは。面白いだろう。 もっと、近くに行ってから答えを教えるよ。」 なんだか、もったいぶってるなあ。 でも、父さんの横顔は、いつもと違った。 笑っているけど笑っていなかった。 「それより、あの海岸沿いの建物を見てごらん。」 父さんは遠くを指差した。 きらきら光っている海の前に、一つだけ異様な建物があった。 ちょっと見ただけで、この風景にふさわしくないってわかる。 そんなおどろおどろしい形をしている。 「あれは…ぼくだって知ってるよ。教科書で習ったもの。」 「そうか。それじゃあ話が速い。この旅のゴールは、あの建物だ。」 やっぱり…。 ぼくだってバカじゃない。 ゲートをくぐった時点で、そんな気がしていた。 それは、ふたつの「負の世界遺産」のひとつ。 小学生ならみんな知っている建物だ。 フクシマとヒロシマ。 ふたつの「負の世界遺産」から人類が学んだから、 今、君たちは生きていられるんだって、 くりかえしくりかえし教わったからね。 でも、まさか、卒業旅行で、 それも父親と一緒に ここに来るとは思ってもみなかったんだ。 |


