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1-10 大好きな風笛を探してみる [2011年05月12日(Thu)]

 「1つ1つの発電機に、物語があるんだね。」


ぼくの言葉に、父さんはにっこり。
うれしそうにうなずいた。


 「ひょっとして…」


今度は、タブレットを並木道の出口に向けてみた。

すると、ここには、100本も発電機が建っていることがわかった。
しかも、一本ずつ、かたちも音も違うんだ!


 「一番のお気に入りを探そうか?」

 「うん!」


ぼくたちは、自転車をおりて、ゆっくり歩きながら、
特別な一本を探すことにしたんだ!

同じパーツを使っていても、
よく見れば、みんな違う。

太くて、しっかりした幹を持っているもの
細かい枝がくねくね曲がって美しい形になっているもの。

きれいな色が塗られていたり、
小さな模様がびっしり描かれているのもあった。


楽しいなあ。

これが、みんな同じだったら、きっとつまらない景色だね。
それに、ちょっと冷たく感じるかもね。


 「こんにちは」

 「こんにちは」


一本一本に見とれ、感じたことをタブレットにつぶやいているうちに、
いつの間にか、歩いている人、自転車ですれちがう人が増えてきた。

みんな、やさしくあいさつをしてくれる。
だから、ぼくもあわててあいさつをする。


 「こんにちは」


最初は、ちょっと恥ずかしくて、声も小さかったけど
だんだん、声も出るようになった。

あいさつが、ちょっと得意になってきた。

すれ違う人全員とあいさつをするのは、
ちょっと気持ちいい。

なんだか、山歩きをしているみたいだね。


おじいさん、おばあさんだけでなく
ぼくより小さい子供たちも、
お母さんやお父さんと歩いている。

ちょっと、びっくりした。

色々な人が、ここには住んでいるんだね。


オブジェからコードを引いて
電動の三輪車に充電をしているおばあさんもいた。

タブレットをのぞいたら

 『この並木道で電池が切れたら
  誰でも無料で自由に充電できます』

だって!

なんだか、いいなあ。


世界の人たちが作ったオブジェと
自然の木が仲良く並ぶ不思議な並木道。
 
初めて見た景色だけど、なんだか懐かしい。
不思議な村だね。ここは。

あいさつを交わした人たちも
みんな笑顔を浮かべて
ゆったりしている。

だから、どこかであった
気がするのかな?


オブジェを見上げたり、振り返ったり
時には、目をつぶって音を聴いたりしながら
ぼくたちは、並木道の切れ目まで歩いて来た。

そこには、今まで見た中で、
一番古くて、素朴なオブジェが建っていた。

なぜか、ぼくは、その前で足を止めた。
見上げて立ちつくした。

なんだか、ぼくに語りかけているみたいに見えたんだ。
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