★城山三郎(1969)『価格破壊』光文社
【どこにあるの?】外部5
【請求記号】913.6/Sh89
作家の城山三郎氏が昨日(03/22)亡くなった。私は学生時代に彼の小説を何冊か読んでいるが、とくに印象的だったのが『価格破壊』。主人公のモデルとなったのはダイエーの創業者である故・中内功氏だと言われているが、主人公の矢口という男は、再販売価格維持の慣行が厳格に守られていた時代に医薬品の安売りを企て、それを阻止しようとするメーカー側の執拗な圧力を受ける。ストーリーのなかでのメーカーの営業社員とのやり取りがけっこう陰湿で、この本を読みながらビジネス社会の影の部分を見たような気がしたのを覚えている。
城山氏の作品は戦争体験が執筆の原点にあり、作品は一貫して組織と人間性の問題を追究している。本学図書館には、彼の単独の著作だけでなく訳書や共著本なども含めて18点が所蔵されている。その気になったら、手にとって読んでみては?
★☆★ 【 お 願 い 】 ★☆★
この本をお読みになった方は、このブログにひとこと感想やコメントをお書きください(本学学生に限りません。本学図書館で借りた方でなくても結構です)。
2007年03月23日
2007年02月15日
荒井一博『信頼と自由』
★荒井一博(2006)『信頼と自由』勁草書房
【どこにあるの?】本館4F和
【請求記号】331.74/A62
最近のニュースなどを見ていれば、家庭内殺人だの詐欺だのとロクな話がない。こういうニュースを見ていると、一昔前まではアタリマエだと信じていたものがだんだんと信じられなくなってしまう。どうやら現代は、何かや誰かへの「信頼」が崩壊しつつあるようにさえ感じる。
著者は、「日本人が信頼重視の価値観を持たなくなった」ことがこのような殺伐とした社会形成の直接的原因だと考える。我が国の社会を「高信頼社会」と賞賛する外国人研究者は1990年代の初め頃まで少なからずいたし、私自身もそのような日本人の精神を誇りに思ってきたが、いまや信頼を裏切ることよりも個人の「自由」こそ最も重視される価値観になってしまった。
しかし、人々がみな自分の「自由」を主張し自由な行動を過度に起こし始めると、社会全体としては非常に不自由な状況となる。本書ではこれを「自由のパラドックス」と呼ぶ。例えば、企業が従業員の解雇を自由に行うようになると、明日にも解雇されかねない従業員は会社のために一生懸命働こうとはしなくなる。その結果、会社の業績は低下することになるし、従業員の給料や労働条件も改善しなくなる。逆に、人々が互いに信頼しあうようになると、人々は安心して仕事に向き合えるようになるし、会社の業績も上がって、給料も増える。
ではなぜ、人々は他人や社会との信頼を裏切っても自分の「自由」を優先するのか。また、どういう条件が整えば、人々は個人的な「自由」よりも他人との「信頼」を重視するようになるのか。平和で本当に豊かな社会の実現を願い、その実現のために何か貢献したいと思う人にオススメの一冊である。
★☆★ 【 お 願 い 】 ★☆★
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【どこにあるの?】本館4F和
【請求記号】331.74/A62
最近のニュースなどを見ていれば、家庭内殺人だの詐欺だのとロクな話がない。こういうニュースを見ていると、一昔前まではアタリマエだと信じていたものがだんだんと信じられなくなってしまう。どうやら現代は、何かや誰かへの「信頼」が崩壊しつつあるようにさえ感じる。
著者は、「日本人が信頼重視の価値観を持たなくなった」ことがこのような殺伐とした社会形成の直接的原因だと考える。我が国の社会を「高信頼社会」と賞賛する外国人研究者は1990年代の初め頃まで少なからずいたし、私自身もそのような日本人の精神を誇りに思ってきたが、いまや信頼を裏切ることよりも個人の「自由」こそ最も重視される価値観になってしまった。
しかし、人々がみな自分の「自由」を主張し自由な行動を過度に起こし始めると、社会全体としては非常に不自由な状況となる。本書ではこれを「自由のパラドックス」と呼ぶ。例えば、企業が従業員の解雇を自由に行うようになると、明日にも解雇されかねない従業員は会社のために一生懸命働こうとはしなくなる。その結果、会社の業績は低下することになるし、従業員の給料や労働条件も改善しなくなる。逆に、人々が互いに信頼しあうようになると、人々は安心して仕事に向き合えるようになるし、会社の業績も上がって、給料も増える。
ではなぜ、人々は他人や社会との信頼を裏切っても自分の「自由」を優先するのか。また、どういう条件が整えば、人々は個人的な「自由」よりも他人との「信頼」を重視するようになるのか。平和で本当に豊かな社会の実現を願い、その実現のために何か貢献したいと思う人にオススメの一冊である。
★☆★ 【 お 願 い 】 ★☆★
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