【市民ライター講座2017 受講生の取材原稿を公開します】
厳しい母親に叱られ続けて育ち、今も心が支配され呪縛に苦しむ人、過干渉で子離れできない親の重さに苦しむ人。親は大事にしないといけないという考えの元、誰にも相談できずに、1人で抱え込んでしまうその苦しみは計り知れない。
「話せばなんとかなる事がある。まず、話してみることが大切」。自助グループ「母と自分を語る会」代表の佐藤美佐子さん(58) =仙台市青葉区=は語る。
会の発足は2014年9月。心理カウンセラーでもある佐藤さんは、偶然目にしたテレビ番組に衝撃を受けた。テーマは「母が重たい」。親好みの価値観を押し付けられ自由や発言権を奪われるという内容に思わず目が留まった。「一般的に父子関係の問題は表面化されることが多いのに対して、母子問題は表面化され難い」と佐藤さんは感じていた。
仙台に「母との関係に悩む人」の自助グループが無いことを知り、「母との事で抱えている問題を話せる場所がないなら、同じ悩みを持つ人同士が話せる場を作るしかない」と心理カウンセラーの仲間と2人で会を立ち上げた。
活動は月に1回。会場は青葉区北仙台にある「カウンセリングルームけやき館」の1室。参加者は20代から70代まで幅広い。女性の参加がほとんどであるが、男性の参加もある。県外からの参加もある。
場の主役は参加者。主宰する佐藤さんらが見守り役となり、参加者同士が話したいことを自由に話していく。見守り役がアドバイスをすることはない。参加者同士が互いに批判し合うことがないよう気にかけながら、安心して話せる場作りに徹する。参加者が口を開かないときには、場を和ませるために、見守り役の2人が自分たちの経験をユーモアを交えて話し、口火を切ることもある。口を挟まなくても参加者同士で盛り上がることもある。
子離れできずに依存する母親。家事や子育てに完璧を求めてくる母親。母と子どもの関係は千差万別であり、母に対する気持ちも様々だ。それぞれの立場、胸に抱えた本音を語り合うことで、自分の気持ちに整理がついていく。自分らしさを取り戻す場所が「母と自分を語る会」だ。
「あなたは一人ではありません。同じ悩みを持っている仲間がいます。自分の体験が誰かの役に立つかもしれません」と、今日も佐藤さんは静かに来場者を待つ。
▲「一人で抱え込まずに、気軽に参加して欲しい」と呼びかける佐藤さん。
<開催情報>
日 時:毎月第二土曜日、午後1-3時半
予 約:不要
参加費:500円(茶菓子代)
連絡先:keyakikan329@gmail.com
(仙台市青葉区 園田真智子)