土木と建築どう区別する? [2006年05月08日(Mon)]
写真は、目黒の林試公園。屋根のある東屋は、土木なのか建築なのか。 土木は、英語でcivil engineering。 日本語としては平安末期の文献に出てくる古い言葉。 道路、堤防、砂防、ダム、橋梁、鉄道、トンネル、河川、港湾、上下水道、都市計画などの分野を指す。建築は、家屋やビルなどの建造物をつくることを指す。建築のことを古くから「普請」といっていたが、Architectureを幕末に建築と訳した。 土木と建築の境界はあいまいというほかない。 何人かの専門家に訊いてみたが、「屋根や壁のないのが土木で、あるのが建築」というのが比較的納得できそうな区分というほかない。 「地表より高く創り上げていくのが建築、地表面や地下、谷間などで工事をするのが土木」ではいかがか。 建設はconstructionまたはbuildng。 「新たにつくり設けること」と『日本国語大辞典』(小学館)にはあり、必ずしも建造物を構築する場合のことではないことを示して、次の例を挙げている。 『公議所日誌』の「明治2年5月」の項に「曖昧過罪の切腹を除かんとならば、自首律を建設し」と、森鷗外の『ヰタ・セクスアリス』から「哲学は職業ではあるが、自己の哲学を建設しようなどとは思はないから」の2つの用例だ。 もちろん、矢野龍渓の『経国美談』に「此の処は則ち有名な高等裁判所を建設しある地なり」と工学上の使用例も挙げている。 しかし、21世紀の今、この分野の技術があまりに発展し、空高く道路網が出来ている今、その区別をするのが、無理なのではないか。土建屋さん、いかがですか? |