日台韓米会議での開会挨拶 [2006年09月11日(月)]
![]() 挨拶をする李鍾九元韓国国防部長官 ![]() 日本、台湾、韓国、米国からの参加による国際会議で挨拶する筆者 以下は、去る9月4、5の両日、韓国・ソウルの星友会館国際会議場で行なわれた「アジア太平洋安全保障専門家フォーラム」の開会式で、私が日本側を代表して挨拶した内容である。原文は英語。 この会議には、日本、台湾、韓国、米国の国際政治、安全保障の専門家とアイアーズ前米国海兵隊総司令官クラスの軍OB(3自衛隊将官経験者)など約25名が参加、北朝鮮問題、中国の内政外交政策、日中関係、日韓関係、両岸(中台)関係、日本をめぐる領土問題などにつき、忌憚ない意見の交換が行なわれた。 出席者の大半は、10月、東京財団で再会し、同様のテーマにつき、さらなる議論を継続することになっている。 ☆―――・・・・・・ ☆―――・・・・・・ 台湾、韓国、アメリカそして日本からの安全保障問題に関する優れた専門家の皆様が参集するこの機会に、共同主催者であります、東京財団を代表して一言ご挨拶を申し上げます。 まずもって、この会議を準備された李鍾九元国防長官、李承帝博士をはじめとする韓国側のみなさまの絶大なるご尽力に、深甚なる敬意と謝意を表します。また、遠路ご参加くださった外国からのみなさまにも御礼申し上げます。 さて、ご承知のように、東アジアをめぐる今日の諸情勢は、まことに激動しており、遺憾ながら、数々の不安定要因を列挙することが出来ます。 不安定要因の第1は、去る7月初旬に行われた北朝鮮のミサイル実験であり、核疑惑であります。未解決の拉致問題ともども、北朝鮮の一連の行動は、以前と何等変わらない非常識であり、かつ危険な兆候として、関係各国が注目し、必要な厳しい対応が重要であると私は考えます。 第2は、中国の軍事力の強化と、それとは必ずしもバランスしない国内情勢の深刻さと不安定さであります。2008年の北京オリンピック、10年の上海万博といった大きな行事を前に、中国はいま、さまざまな矛盾を抱えながら軍事大国への道をすすめております。これが、台湾のみならず東アジア全体に与える脅威は計り知れないものがあります。私は中国が国際社会で良識を持った国としての内外政策の推進にあたっていただきたいと、常日頃、考えております。 第3は、韓国の内政の不安定さであります。大統領の支持率の信じられないような低さは、対北朝鮮政策のあまりの宥和政策から来ているのではないかと思われますが、台湾同様、次期、大統領選挙を前に、さらに政争が加速されるのではないかと、案ずる次第です。 韓国の政治や安全保障の基盤が揺らぐことは、東アジア全体の大きな不安定要因にほかなりません。 第4は、米軍再編の問題です。とりわけ、韓半島の国連軍指揮権の問題は大いに注目する必要がありましょう。2012年までに指揮権の移譲をという韓国の一部の人々の要求に対して、アメリカはそれなら2009年にでも指揮権をお渡ししましょうと、前倒しを認める態度に出ています。このことが、アメリカは韓国の防衛に全面的に関与しないという政策転換を呼び、北朝鮮の軍や政府には再び南進を図りうるとの誤ったメッセージを送り、危険な決断をさせる可能性なしとしないと、私は憂慮します。 昨日、私どもは韓国に参りました。私個人にとっては日韓国交回復直前の1965年以来、30回目くらいの訪問ですが、韓国は訪問するたび発展し、いまや40年前には想像も出来なかった経済発展と世界の最先端の文化を国民は享受し、学術・科学・産業・教育・スポーツなどの面で、世界一流の国として、国際社会から高く評価されるまでになっております。同じアジアの一員として、まことに喜ばしいことであり、慶賀する次第であります。 その韓国が、周辺諸国と相携えて、21世紀において東アジアの平和と安定、発展のためにその優れた能力を、より積極的に、かつ、私どもにも分かりやすく発揮していただきたいというのが、私の願いであり、期待であります。 もちろん、皆様の中には日本の外交・防衛政策にいろいろと疑念や憂慮すべき点が多々あろうかと存じます。日本側の参加メンバーはわが国の外交・防衛政策、とりわけ、近く発足するであろう安倍政権には絶大な影響力を持つであろう方々です。本日から行なわれる、ディスカッションを通じ、みなさまから率直なご助言、ご提案をいただければ幸甚であり、必ずやわが国の外交・防衛など国の基本的政策に何らかの形で反映できるのではないかと確信します。 開会式におけるご挨拶を終えるに当たり、東アジアの平和と安全、そしてご参加のみなさまのご健勝とさらなるご活躍を祈念するものであります。重ねて、会議の準備に当たってこられた韓国側のみなさまのご尽力に感謝します。 ありがとうございました。 |





