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福島での一日〜長崎大学の「専門家」による講演会で安全とは何かを考える [2011年04月17日(Sun)]

先日お目にかかった「原発震災復興・福島会議」の方に会いに、再び福島を訪れ、小学校の放射線量の計測に同行しました。
ちょうどこの日の午後、伊達市ふるさと会館にて、「福島原発事故の放射線健康リスクについて」と題する講演会が開催されていたため、こちらにも参加しました。講師は、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一氏。長崎大学教授で医学博士。原発の影響を深い憂慮と関心をもって見守っている心ある人々から、現在の状況についてやたらと「安心だ」を連発していると批判されている人物でもあります。

会場は満員の参加者でした。

山下氏の講演の主要なポイントは、放射線量は、100ミリシーベルトまでであれば、心配はいらない、たとえ細胞の遺伝子に傷がついても、人間の自然治癒力によってそれは修復されるというものでした。講演者は何度も、この100ミリシーベルトは国際的な基準であることを繰り返し、質疑の中で、子供にも大丈夫なように設定されていると述べました。これには正直、驚きもし、衝撃も受けました。
講演の中で明らかにされなかったことがいくつかあります。

・国際的には、放射線の確率的影響に関しては「ある線量以下であれば安全というしきい値はない」ということが主流であること(注1)。発がん等のリスクは、放射線量に比例じて存在し、そのリスクは乳幼児・子供であれば、成人よりはるかに高いものとなること

・甘くて時代遅れの基準だとして批判もある国際放射線防護委員会(ICRP)でさえ、緊急時における放射線量を20〜100ミリシーベルト、緊急事故後の復旧時は1〜20ミリシーベルトとしていること

おそらく山下氏は聴衆を安心させたかったのかもしれません。しかし、そのことにより、放射線による健康リスクを低減させるために、住民・行政がとるべき手段を遅らせることがあってはならないでしょう。

現に、行政による測定では、福島県の5分の1くらいの小・中学校では、「個別被曝管理」(注2)が必要とされる2.2マイクロシーベルト/時以上を示しており、55%の学校は、「管理区域」(注3)が必要とされるレベル(0.6〜2.2マイクロシーベルト/時)となっています(注4)。
今、子供たちを守るために求められることは、疎開も含めた、緊急の措置でしょう。


質疑の中である参加者が、このように述べていました。

「たしかに今は、データがなくわからないこともあるでしょう。しかし、今後、数十年たったあと、『想定外』ですまされますか? よくわからないからこそ、安全面をみるべきなんじゃないんですか?」

安心させるために、現実の安全が犠牲にされてはならない――
そんなことを考えさせられた一日でした。(文責:満田夏花)

(注1)例えば、米国科学アカデミー及び国際がん研究機関からの報告が下記にて閲覧できます。
http://www.nuketext.org/topics3.html

(注2)人が放射線の不必要な被曝を防ぐため、放射線量が一定以上ある場所を明確に区域し、人の不必要な立ち入りを防止するために設けられる区域。

(注3)管理区域内において、放射線業務従事者が被ばく量の許容値を超えないようにするため、区域内で受ける外部被ばく線量および内部被ばく線量を、ひとりひとり個別に計り管理すること

(注4)2011年4月13日 「原発震災から子どもたちを守れ!」阪上武氏講演資料
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