FoEアジア太平洋地域のミーティングに参加(フィリピン・バタンガス) [2014年06月10日(Tue)]
スタッフの吉田です。6月5日〜8日まで、フィリピンのマニラ郊外のバタンガスに滞在し、FoE Apac(アジア太平洋地域)の地域ミーティングに参加してきました。
FoEグループは、世界70カ国にメンバーを持つ国際ネットワークではありますが、予算面でも活動内容でも、基本的には各国で独立していて、気候変動の国際交渉など、必要に応じた場面場面での連携を行っています。メンバー間の情報交換の機会として、地域ごとの年1回のミーティングと、FoEグループ全体の2年に1回のミーティングがあります。 今回の参加メンバーは、ホスト国フィリピン、スリランカ、マレーシア、インドネシア、ネパール、東ティモール、バングラデシュ、オーストラリア、パプアニューギニア、韓国、日本、そしてFoEインターナショナルから2名、全部で20名弱が各地から集まりました。 1日目の午前は、こんな風景で会議!風が気持ちいい・・・でも、暑い!! 始めて会う人たち、英語でのディスカッションに加えて真夏の暑さの中で、集中力を保つのが難しかったものの、議論は非常に興味深いものでした。 会場は、マニラから南に車で2時間ほどのバタンガスというところ。 カルデラ湖(タール湖・上の写真)のほとりにある会議場。宿泊は、そこから徒歩3分ほどの保養施設です。 会合の議題はこんな感じ。 1、各国の状況共有 2、共通課題に関する共有とディスカッション 3、事務的な共有(理事メンバーの選任、コーディネーターについてなど) 共通課題として挙げられたテーマは、下記のようなものでした。 ●原発 韓国では日本にもまして原発推進。マレーシアでも政府が導入に前向き。 スリランカには原発はないものの隣国インドの原発は他人事ではない。 オーストラリアのウラン鉱山からは各国に輸出。 アジア太平洋地域には、それぞれの事情と関連があります。 日本の、福島第一原発事故の現実をどう伝えるか。省エネの可能性は。 ●気候変動 日本では近頃、「気候変動対策」と称して原発の再稼働の必要性が強調 されています。一方で政府も企業も、気候変動対策には後ろ向きです。 「気候変動難民(Climate Refugee)」という現実が無視されている、 ヒマラヤ氷河がとけて発生する洪水や地すべりは深刻だと、 FoEネパールは言います。 洪水や海面上昇は沿岸地域を脅威にさらし、海水の農地への流入は食糧生産 を打撃する。難民がすでに過密状態の都市に流れ込む・・ FoEバングラデシュも訴えます。 深刻な影響を受けているのは東南アジアの国々の、特に貧しい人々という不公平が現実だ。 原因をつくっている、温室効果ガス排出をしている先進国の対策、 すなわちライフスタイルをどう変えるかという問題だ、とFoEスリランカ。 日本国内になかなか伝わってこない現場の声・・・。 FoE Japanは今年、気候変動影響による「損失と被害」の現場調査を予定しています。こうしたアジアの声を伝えていく必要性を感じました。 ●開発と土地収奪 スリランカ、東ティモール、フィリピン、マレーシア、パプアニューギニアなどの国々では、開発と土地収奪問題が大きな課題です。 先祖代々受け継がれた農民たちの土地が、登記されていないために第三者に奪われ、政府や多国籍企業に売られる。反対する農民は、政府により弾圧されるというひどい事態。。FoE Japanのエイド(開発と環境)チームもこの問題に取り組んでいます。 ほかにも、スリランカやバングラデシュなどが直面する水問題や、インドネシアやマレーシアで深刻な森林保全・違法伐採問題などについて話し合われました。 私は、FoE Japanのスタッフとしてはめずらしく、フィリピンを訪れるのは初めてだったので、移動の車窓からの風景や食べ物も、人々の様子も、非常に興味深く目が離せませんでした。 これらは会場の付近の様子。自然豊かなところです。 食事。ご飯に、肉や魚の料理、野菜などを盛り付けます。マンゴーやスイカなどのフルーツが必ずついています。 しっかりしたコンクリートづくりの裕福そうな家もあれば、雨季の雨漏りが心配になる古いトタン屋根の簡素な家も。車は銀色でオープンタイプ。乗り合いバスはスシ詰め。一方で日本車などの高級車も。格差が大きいのだと、FoEフィリピンのメンバーも話していました。 照りつける太陽にやられそうになりながら、気候変動の影響を直接に受ける「南」の国々の、そして多国籍企業による開発による被害にさらされる、資源も自然も豊かな国々の人々の生の声を少しでも聞き、考えさせられた滞在となりました。 (吉田 明子) ツイート |