宮崎県が家畜伝染病の口(こう)蹄(てい)疫(えき)の「終息」を宣言した。これで政府の支援策も時を移さず具体化していくだろう。復興・再生の動きを一段と加速させたい。
宮崎県は、口蹄疫の感染が疑われる牛や豚がゼロとなったことから7月27日に「非常事態宣言」を全面解除し、今月19日には再生・復興方針を発表した。
短期的には畜産業を中心に落ち込んだ県内経済の早急な再建である。そして、中長期的には先進的で、全国のモデルとなる畜産業の構築が柱となる。
終息宣言は、宮崎県内には口蹄疫ウイルスはまったくいない、撲滅するための措置が完了した、ことを意味する。
復興にあたっては、二度と口蹄疫ウイルスの侵入を許してはならない、との思いは畜産関係者に共通のものだろう。
そのためには、まず今回の事例を徹底的に検証することが欠かせない。
発生源、原因は何か。感染はどうやって広がったのか、防疫体制に問題はなかったか。もっと早く拡大を阻止し、被害をもっと小さくできなかったか。
宮崎県も農水省も、それぞれ検証委員会などを設け、作業を進めている。
ただ、気になるのは、肝心の発生源、原因が特定できず、そこが不明なまま調査が終わる恐れがあることだ。
口蹄疫や強毒性の鳥インフルエンザ、豚コレラなどは海外からの侵入を防ぐのが難しく、越境性感染症と呼ばれる。
10年前、国内で92年ぶりに宮崎県と北海道で口蹄疫が発生したときも最終的に「犯人」は特定できなかった。
今回も農水省の疫学調査チームは、海外から国内への侵入経路について特定は難しいとの見方を示している。
完全阻止が難しいなら、最大限効果がある防疫体制をどうすればつくれるか。口蹄疫が発生していない米国やオーストラリアなどはどう対応しているのか。
いったん感染が見つかったら、どうすれば被害を最小限に抑えられるか。
検証し、研究すべきことは多い。
今回、川南町を中心に、約29万頭の牛や豚が殺処分された。宮崎県は、川南町を含む児湯・西都地域の畜産業と関連産業への影響は単年度で404億円、今後5年間で1213億円と推計する。
観光関連産業など、県内経済への影響額は計約2350億円にも上るという。
4月20日に感染の疑いがある牛が確認されてから4カ月余りの長期間で、大きな被害を生んだ。二度と起こさぬよう、国や県、市町村、生産者はそれぞれの立場で、徹底した検証によって多くの教訓をくみ取らなければなるまい。
宮崎県の復興・再生方針には畜産から野菜などへの転換もあるが、容易ではない。新しい畜産王国を目指すべきだろう。川南町では、病気のない豚を育てようと、若手生産者などが動きだしたという。教訓を生かす。災いを転じて福となす方法である。国や県も、検証で問題が見つかれば即座に是正していくべきだ。
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西日本新聞8月28日―