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口蹄疫、国・自治体で連携不足=宮崎県の対応「不十分」−農水省中間報告 [2010年09月15日(Wed)]
 宮崎県で爆発的に流行した口蹄(こうてい)疫の問題で、農林水産省の外部有識者による「口蹄疫対策検証委員会」は15日、国や県の防疫対応に関する中間報告をまとめ、公表した。報告では、今回の対応の問題点として「国と県や市町村との役割分担が明確でなく、連携も不足していたのではないか」と指摘。特に宮崎県の対応には「日常的な予防や初動対応を含め不十分なところが多かった」と批判した。
 感染拡大の要因に関連し、県が農場の所在地や家畜の頭数などの情報収集を普段から行っていなかったことが「初動対応の遅れや発生拡大につながったのではないか」との見方を提示。また、最初に感染例が発表された4月20日以前に、10戸以上の農場にウイルスが侵入していた疑いがあることを踏まえ、獣医師や農家を含む連絡の遅れも挙げた。
時事ドットコム9月15日―
感染調査で国の権限強化を 口蹄疫検証委の中間報告 [2010年09月15日(Wed)]
 宮崎県の口蹄疫問題で国や県の対応が適切だったかどうかを調べている農林水産省の口蹄疫対策検証委員会は15日、中間報告の取りまとめに向け、会合を開いた。

 感染ルート解明のため、国が強制調査できるように権限を強化するなど、感染拡大防止に向けた改善策を提言。これを踏まえ同省は、来年の通常国会に家畜伝染病予防法の改正案を提出する方針だ。

 委員会では、これまで国や宮崎県の担当者のほか関係市町の首長らから、発生当時の状況などについて聞き取り調査を実施。委員からは「口蹄疫の恐ろしさに対する関係者の認識が甘い」「国や県の連携が悪い」などの批判が上がっていた。

 また、県から国への通報が遅れたことで被害が拡大したとの指摘も多く、即座に情報が提供されるよう国の対策マニュアルを強化すべきだとの声も出ていた。
―47ニュース(共同通信)9月15日―
検証口蹄疫・第2部(10) [2010年08月30日(Mon)]
■殺処分(下)/ウイルス対策不十分

 口蹄疫の発生農場はウイルスが高い濃度で潜む。県が2003年に策定した口蹄疫防疫マニュアルにはウイルスを殺処分、埋却現場に封じる「持ち出し対策」も示されているが、徹底できていなかったという反省が残る。

 マニュアルには「農場出入り口付近にシャワー設置」と明記されているが、未設置のため顔や手足しか洗えない現場もあった。「水の確保や汚水処理など問題があった」と県担当者。多発時には10以上の農場で殺処分が同時進行し次々と現場が移動する中、実行は厳しかったと明かす。

 数多くの現場に立ち会った高鍋町の30代女性獣医師は、川南町役場に置かれた県の現地対策本部にすら、当初はシャワーがなく、ウイルスを持ち帰る可能性があったことに強い危機感を抱いていた。「農場内にシャワーがあれば浴びて出ていたが、本部になかったのはおかしい。設置されたのは5月の中旬だった」と問題視する。

   ■     ■

 防護服、マスク、手袋…。現場に持ち込んだ物品は現場で廃棄され、やむを得ず持ち出す場合は消毒を条件にしている。しかし現場は獣医師以外にも建設業者、行政職員ら雑多な人員が入り乱れ、最大で700人が動いていた。宮崎大農学部の末吉益雄准教授(獣医衛生学)は廃棄、消毒といった防疫の大原則が徹底されていたか、いぶかる。

 末吉准教授は実際にたばこや携帯電話を持ち込んでいた作業員を目撃。「捨てられる物はいいが、(消毒剤に弱い)携帯電話は問題。電話を肌身から離したくない人の対策が課題」とする。

 国の疫学調査チームの一員でもある末吉准教授は現場からウイルスが持ち出された可能性について「教訓として生かさなければならないが、どれだけ拡大させたか検証は難しい」と語る。膨大な作業員の動きはもう追跡不可能だ。

   ■     ■

 マニュアルの履行や、その実効性が問われた殺処分の現場だが、柔軟な発想で課題を克服した例もある。川南町の大規模養豚場では、処分した豚を豚舎から運び出す作業が課題となり、選果場で使うローラーのレール台を活用。豚を台に載せて滑らせるように運んだ結果、数人で抱えて運ぶ通常の搬出法よりも大幅に効率化できた。また、別の養豚場では電気ショックによる殺処分に、家畜の扱いに慣れた食肉処理場の職員を投入。獣医師の不足を補った。

 規模や畜種、畜舎の構造などが異なる292の発生農場は、それぞれに課題や教訓を残した。県対策検証委員会の原田隆典座長(宮崎大工学部教授)は「それぞれの立場の人が『こうしておけば』と反省を持っている。早く全体像をつかみ、何が重要だったか見極めたい」と話す。

 膨大な情報をどう整理し、課題を抽出するか。実効性を備えた新たなマニュアルの策定へ委員会は重責を担っている。
宮崎日日新聞8月30日―
検証口蹄疫・第2部(9) [2010年08月29日(Sun)]
 口蹄疫の発生が急増し始めた大型連休後半、殺処分の現場は重苦しい雰囲気に包まれていた。各町との連絡調整を担当した県職員は「1〜2時間寝て、現場に行く。それでも殺処分が(発生に)追い付かなくなった」と振り返る。

 殺処分の対象農場が急激に増えたことで、資材供給や輸送網など後方支援に混乱が生じた。獣医師が農場に着いているのに補助員が来ない。処分班が到着しているのに資材がない―。ある獣医師は「午前中を棒に振ったこともある。とにかく、段取りが悪かった」と歯がゆさをにじませた。

 物流の止まった大型連休、県は長靴や一輪車、ビニールシートなど資材調達をホームセンターの在庫に頼った。調達に奔走した別の県職員は「国も県も“災害”の被害想定すらしていないから、資材もすぐ底をつく。戦争でいう兵站(へいたん=後方支援、補給)が軽視されていた」と当時を思い起こす。

   ■     ■

 獣医師免許を持つ県職員(家畜防疫員)、薬殺などを担う獣医師、牛をつないだり豚を追い込んだりする補助員など、数人から数十人のチームが連日殺処分に当たった。ただ、家畜伝染病予防法で「扇の要」に位置づけられる家畜防疫員は、県の現地対策本部との連絡調整や処分頭数の集計に追われ、司令塔の役割を十分に果たせなかった。

 国の家畜衛生統計(2007年)によると、家畜保健衛生所(家保)に勤務する本県の家畜防疫員は46人。同じ畜産県の鹿児島県(75人)に遠く及ばない。家保獣医師1人当たりの家畜の管理頭数1万1430頭は全国最多だ。県畜産課の三浦博幸副主幹は「発生が散発なら家保で対応できたがこれだけの規模は…」と、県単独での防疫の限界を口にする。

 ただ、非常時に備え、家畜防疫員の確保を工夫する自治体もある。秋田県は20年以上前から、県OBや農業共済組合(農済)の臨床獣医師45人を「民間家畜防疫員」に委嘱。岩手県も開業獣医師や農済の獣医師80人を「地区家畜防疫員」に任命している。

   ■     ■

 殺処分の現場は県や町、JAの職員、県外獣医師などさまざまな人であふれ、作業の進め方で意見の衝突も頻繁に起きた。獣医師、補助員の技術にも格差が目立った。

 5月上旬から約2カ月間、殺処分に携わった高鍋町の開業獣医師志賀明さん(57)は「家保獣医師にも牛や豚、それぞれ専門があり、能力にも限界がある。最初から事情に精通した地元や農済の獣医師を活用する仕組みがあれば」と悔やむ。

 宮崎大農学部の後藤義孝教授(獣医微生物学)は「にわかづくりのチームをどう動かすかという新たな課題が出てきた。リーダーの獣医師を中心に連携を図り、一つの感染症に柔軟に対応できるシステムや態勢づくりが絶対に必要だ」と提起する。
宮崎日日新聞8月29日―
口蹄疫終息宣言 災い転じて福となすには [2010年08月28日(Sat)]
 宮崎県が家畜伝染病の口(こう)蹄(てい)疫(えき)の「終息」を宣言した。これで政府の支援策も時を移さず具体化していくだろう。復興・再生の動きを一段と加速させたい。

 宮崎県は、口蹄疫の感染が疑われる牛や豚がゼロとなったことから7月27日に「非常事態宣言」を全面解除し、今月19日には再生・復興方針を発表した。

 短期的には畜産業を中心に落ち込んだ県内経済の早急な再建である。そして、中長期的には先進的で、全国のモデルとなる畜産業の構築が柱となる。

 終息宣言は、宮崎県内には口蹄疫ウイルスはまったくいない、撲滅するための措置が完了した、ことを意味する。

 復興にあたっては、二度と口蹄疫ウイルスの侵入を許してはならない、との思いは畜産関係者に共通のものだろう。

 そのためには、まず今回の事例を徹底的に検証することが欠かせない。

 発生源、原因は何か。感染はどうやって広がったのか、防疫体制に問題はなかったか。もっと早く拡大を阻止し、被害をもっと小さくできなかったか。

 宮崎県も農水省も、それぞれ検証委員会などを設け、作業を進めている。

 ただ、気になるのは、肝心の発生源、原因が特定できず、そこが不明なまま調査が終わる恐れがあることだ。

 口蹄疫や強毒性の鳥インフルエンザ、豚コレラなどは海外からの侵入を防ぐのが難しく、越境性感染症と呼ばれる。

 10年前、国内で92年ぶりに宮崎県と北海道で口蹄疫が発生したときも最終的に「犯人」は特定できなかった。

 今回も農水省の疫学調査チームは、海外から国内への侵入経路について特定は難しいとの見方を示している。

 完全阻止が難しいなら、最大限効果がある防疫体制をどうすればつくれるか。口蹄疫が発生していない米国やオーストラリアなどはどう対応しているのか。

 いったん感染が見つかったら、どうすれば被害を最小限に抑えられるか。

 検証し、研究すべきことは多い。

 今回、川南町を中心に、約29万頭の牛や豚が殺処分された。宮崎県は、川南町を含む児湯・西都地域の畜産業と関連産業への影響は単年度で404億円、今後5年間で1213億円と推計する。

 観光関連産業など、県内経済への影響額は計約2350億円にも上るという。

 4月20日に感染の疑いがある牛が確認されてから4カ月余りの長期間で、大きな被害を生んだ。二度と起こさぬよう、国や県、市町村、生産者はそれぞれの立場で、徹底した検証によって多くの教訓をくみ取らなければなるまい。

 宮崎県の復興・再生方針には畜産から野菜などへの転換もあるが、容易ではない。新しい畜産王国を目指すべきだろう。川南町では、病気のない豚を育てようと、若手生産者などが動きだしたという。教訓を生かす。災いを転じて福となす方法である。国や県も、検証で問題が見つかれば即座に是正していくべきだ。

西日本新聞8月28日―
検証口蹄疫・第2部(7) [2010年08月27日(Fri)]
埋却地(上)/資格水染み出し選定困難

 国の疫学調査チームは、口蹄疫の感染が拡大した理由の一つに、殺処分と埋却の遅れを挙げる。

 宮崎日日新聞社の調べでは、発生農場の牛と豚の殺処分に要した日数は感染疑いの確認から平均9・6日。国が6月24日に示した防疫措置実施マニュアルが求める「原則24時間以内」には程遠い。遅延の最大の原因は、埋却地の確保が難航したことだった。

 難航した要因の一つは地下水。爆発的に感染が広がった川南町では、4月下旬には問題が表面化していた。埋却予定地を掘削すると、地下水が染み出し、用地の再選定を迫られることもしばしばで、作業効率の悪化を招いた。

 県畜産課の水野和幸副主幹は「児湯地域は地下水に恵まれたため、畜産が栄えたという側面もある」と語る。

   ■     ■

 鹿児島大総合研究博物館の館長を務める大木公彦教授(地質学)も「児湯地域は、地下水が豊富」と認める。宮崎市から都農町に至る丘陵の表面をつくる地層は、主に砂や岩石の破片でできており、水を通しやすい。その下には泥を含む水を通しにくい地層が分布。この地層は北東の方角に傾いており、九州山地に降った雨は地下水となり児湯地域に向かって流れるという。大木教授は「児湯地域は(埋却条件の)4メートル程度の深さまで掘ると、水が染み出る土地が多い可能性がある」と指摘する。

 潜在的な地下水問題を抱える児湯地域において、家畜伝染病予防法などで定める(1)発生農家が埋却地を確保する(2)埋却地は原則として発生地やその付近に限る―の規定は理想論に近い。県が2003年に作成した県口蹄疫防疫マニュアルにも、こうした地域の実情は反映されていない。

 地質的な問題点に対する国や県の準備不足が農家を追い詰める結果となり、新富町の発生農家は「農場付近の土地を4カ所ほど掘ったが、すべて水が出た。埋却地が見つかるまで9日かかり、いら立ちや焦りの毎日だった」。

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 発生市町村の中で、殺処分まで最長の平均11・4日を要した高鍋町。地下水に加え、県内市町村で最も面積が狭いことも足かせとなった。同町産業振興課の長町信幸課長は「大規模農場での発生が相次ぎ、埋却地確保が追い付かなかった」と振り返る。

 埋却地問題の見通しが立ったのは、町が広大な埋却用地を確保した6月5日。大規模農場を中心に、発生農場の約3割がその土地を利用した。その間、埋却地が見つからず、発生から3週間も牛を飼育し続けた農場もあった。

 長町課長は、山田正彦農相が畜産農家に対する埋却地確保の義務化を示唆していることに触れ、「北海道ならともかく、十分な土地がない高鍋町では難しい。画一的な政策ではなく『過密地帯では焼却処分施設を整える』などの地域の現状に合わせた対策を考えるべき」と訴える。
宮崎日日新聞8月26日―
最初の豚感染施設、防止策が不十分…農水省調査 [2010年08月26日(Thu)]
 宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で、豚で最初の感染例を出した同県畜産試験場(川南町)のウイルス侵入防止対策が不十分だったことが25日、わかった。

 感染ルートを調べている農林水産省の疫学調査チーム(チーム長=津田知幸・動物衛生研究所企画管理部長)が、同日全文を公表した中間報告書で明らかにした。

 同報告書によると、同試験場では、一般の訪問者には、出入りする際に衣服を着替えさせ、シャワーを浴びさせるなどの対策を取っていたが、試験場の従業員はこうした対策を取っていなかった。また、試験場では、飼っている豚を移動させる際、豚舎の内部ではなく、外部を歩かせていた。

 同報告書は、これらの点について「病原体の侵入防止対策として不十分」「農場への(口蹄疫の)侵入要因の一つ」と指摘。感染が集中した川南町周辺地域の感染拡大の一因になったとしている。

 同チームのこれまでの調査では、同試験場は、正式に発生が確認される4月20日以前にすでにウイルスが侵入していた。

 また、同報告書によると、感染した家畜のウイルス抗体値を検査した結果、30農場で通報が遅れていたことが分かった。感染した農場の約1割で、通報が遅れていた計算になり、同報告書は、これらの点についても引き続き検証する必要があるとしている。

 県は、試験場の従業員が出入りの際にシャワーを浴びていなかった事実を認め、「ウイルス侵入防止対策が不十分だったかもしれない」としている。
読売新聞8月25日―
宮崎県口蹄疫検証委が初会合 [2010年08月26日(Thu)]
 県口蹄疫(こうていえき)対策検証委員会の初会合が25日、県庁で開かれ、調査項目と方法、スケジュールを確認した。調査結果は10月下旬をめどにまとめ、発表する方針。

 調査項目は〈1〉防疫対策〈2〉県の危機管理態勢〈3〉市町村や他県、国、関係機関との連携〈4〉農家や商工業者、県民との連携、情報伝達――が主な柱。非常事態宣言の是非や家畜防疫員の対応、判断なども検証する。

 総合政策課長ら5人の課長で構成する庁内チームが、関係者からの聞き取りやアンケート、現地調査を行う。

 冒頭のあいさつで、東国原知事は「現場に近かった者の責任として、県独自の調査が必要と考えた。感染源やルートの解明は困難と感じているが、厳しい目で問題点を抽出し、今後の防疫態勢を構築したい」と述べた。

 委員は、県商工会議所連合会や県市長会、農協、宮崎大の教授ら8人で構成。非公開で行われた初会合には6人が出席し、口蹄疫対策の実施状況なども報告された。

 座長に選出された宮崎大工学部の原田隆典教授は終了後、「徹底して情報を集めるが犯人捜しの場にはせず、将来の危機管理に生かすことを確認した」と、委員会の立場を説明。国が設置している検証委員会の調査結果とも突き合わせ、より精度の高い調査を行う意向を示した。

読売新聞8月26日−
検証口蹄疫・第2部(6) [2010年08月25日(Wed)]
 「イノシシが死んでいる。口蹄疫ではないのか」。感染が拡大していたころ、県畜産課には多くの問い合わせが寄せられた。口蹄疫はシカやイノシシなど野生の偶蹄(ぐうてい)類も感染するとされ、多くの農家が不安を抱いた。人里を自在に行き来する鳥獣への対策は、終息後も防疫上の課題として残った。

 県自然環境課によると、県内にシカは約7万7千頭(2008年度調査)が生息。イノシシの数は把握していないが、人里など分布域は確実に広がっているという。

 県は死体や衰弱状態で見つかった野生動物について口蹄疫感染の有無を検査。生きた状態か、死亡直後でないと検体採取は困難だが、これまでにイノシシ7頭、シカ4頭、カモシカ2頭の検体を動物衛生研究所(動衛研、東京)に送付。すべて陰性だった。

 県猟友会の米良安昭会長は「いずれも自然死や転落死。野生動物は警戒心が強く、人工物、特に畜舎の中に入り込むことは考えにくい」と、これらの動物がウイルスを媒介した可能性には懐疑的だ。

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 感染ルートを調べている国の疫学調査チームは、近隣農場への伝播(でんぱ)はネズミやハエのほか、野鳥による可能性があると推測する。

 JA尾鈴は4月20日の1例目発生後すぐ、現場周辺の農家に防鳥ネットを配布。家畜のだ液が付着した餌をスズメやハトがついばむためだ。松浦寿勝畜産部長は「人やモノ、車の動き以外に、野鳥対策で感染は防げると考えていた。それなりに効果はあったと思う」と当時を振り返る。

 埋却地や堆肥(たいひ)舎に大量発生したハエも農家を不安に陥れたが、殺虫剤配布を除き目立った対策は講じられなかった。動衛研によると「野鳥や昆虫に付着して機械的にウイルスを運ぶ可能性はあるが、感染を起こすほどのウイルス量を伝播するかは不明」という。

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 帝京科学大生命環境学部の村上洋介教授(動物ウイルス学)は「野生動物の口蹄疫ウイルスに対する感受性(感染必要量、排出量など)は詳しく分かっていない」と話す。ただ、いずれも大発生した1997年の台湾、2000年の韓国、01年英国でも「野生動物への感染報告はない」とし、必要以上の不安を抱かないよう訴える。

 農場のバイオセキュリティー(疾病侵入対策)の向上を提言するのは、宮崎大農学部の末吉益雄准教授(獣医衛生学)。「シカは牛にヨーネ病、イノシシは豚に豚コレラやオーエスキー病を媒介する」と、口蹄疫以外にも警戒すべき伝染病を挙げる。

 村上教授も野生動物を飼料から遠ざけ、農場周辺の消毒を徹底するよう求め、「野生動物の生態に詳しい専門家が対策に参画し、行動様式を知ることが必要」と指摘する。

 野生動物対策は伝染病に強い畜産地帯づくりへ喫緊の課題とも言える。
宮崎日日新聞8月25日−
感染ルート特定困難 農水省、近く中間報告 [2010年08月25日(Wed)]
 宮崎本県口蹄疫の感染源、感染ルートを調べている農林水産省の疫学調査チーム(チーム長・津田知幸動物衛生研究所企画管理部長)は24日、同省で検討会を開き、前回(7月下旬)の検討内容を基に「3月中旬には宮崎県にウイルスが侵入し、初発は6例目の都農町の農家」などとする中間報告案をまとめた。ただ、海外からの侵入経路については「現時点での特定は困難」として、今後も究明には至らない可能性を示唆した。中間報告は根拠となるデータを添え、近く公表する。

 中間報告は発生の概要、ウイルスの侵入・伝播(でんぱ)経路、今後の防疫対策への提言―などの項目からなる予定で、感染ルートや初発農家などに関しては現地調査チームの聞き取り内容や、得られたデータなどの推察根拠も示す。

 検討会後に会見した津田チーム長らによると、本県への侵入経路については、「アジア地域から人や物の移動に伴い侵入したと考えられるが、現時点での特定は困難」と、これまでの推察通りになる見込み。2000年の前回発生の際も中国産麦わらが感染経路として疑われたが、特定できていない。調査チームは最終報告まで調査する意向だが、「(特定は)難しいだろう」としている。

 また、近く公表する中間報告は「ウイルス侵入が最も早かった農場は3月31日の検査材料でPCR(遺伝子)検査陽性だった6例目の農場で、侵入時期は3月中旬ごろ」「1例目が確認された4月20日時点で、少なくとも10農場以上に侵入していた」など、前回の検討を基にした内容になると説明した。

 調査チームの推察に関し、発生農家らから「きちんとした調査がなされていない」などの指摘があることに、津田チーム長は「得られた情報を基に整理できることは整理する。本当かどうか分からないものは書けないが、少なくとも可能性があるものについては調べ、否定できるものは否定する」との姿勢を示した。

 24日の検討会は食料・農業・農村政策審議会の牛豚等疾病小委員会(田原健委員長)との合同会合として開催。中間報告について、小委員会側から公表方法などについて指摘があったが、「妥当」と評価された。
宮崎日日新聞8月25日−
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