日本における外国人在留者が年々拡大する中、
特にコロナ禍で日本における外国人(すなわち、日本国籍を持っていない人)の金融排除の深刻さが表面化してきている。外国人技能実習生への本国の送り出し機関からの違法な手数料の徴収、多額の借金を背負って来日した技能実習生の実習実施機関からの逃亡など、昨年はメディアでも大きく取り上げられた。
明治大学小関隆志教授の2021(令和 3)年 3 月 23 日発行 明治大学経営学研究所 経営論集 第 68 巻 第 4 号
「外国人(移民)の金融排除・金融包摂に関する予備的考察」は、在留外国人がいかに金融排除に苦しんでおり、日本社会は、彼らをどのように金融面で包摂していくべきかを欧米諸国の取り組みも紹介の上、予備的考察を行っている。
今後の調査・研究を踏まえた続編が大いに期待される。見出しは次のとおりである。まず、ご一読願いたい。
経営論集-68-4-06-小関隆志先生.pdfはじめに
第1 節 外国人に対する社会的排除
第 2 節 外国人に対する金融排除
(1)送金
(2)銀行口座開設
(3)金融排除と社会的排除
第 3 節 欧米諸国における移民の金融排除・金融包摂
(1)移民の金融排除問題
(2)金融包摂の取り組み
おわりに
(参考)厚生労働省の外国人雇用状況統計(2020年10月末現在)によれば、
• 外国人労働者数は1,724,328 人で、前年比 65,524 人(4.0%)増加し、平成19年に届出が義務化されて以降、過去最高を更新したが、増加率は前年 13.6%から 9.6 ポイントの大幅な減少。
• 外国人労働者を雇用する事業所数は 267,243 か所で、前年比 24 ,635 か所(10.2%)増加し、平成19年に届出が義務化されて以降、過去最高を更新したが、増加率は前年 12.1%から 1.9 ポイントの減少。
• 国籍別では、ベトナム(注1)が中国を抜いて最も多くなり、443,998 人(外国人労働者数全体の25.7%)。次いで中国 419,431 人(同24.3%)、フィリピン184,750 人(同10.7%)の順。一方、ブラジルやペルーなどは、前年比で減少している。
(注1)ベトナムは「技能実習」が 49.2%、次いで 「資格外活動」のうち「留学」が 28.7%を占めている。留学生は、学期中は、週28時間までの就労が可能。
• 在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」の労働者数が 359,520 人で、前年比 30,486 人(9.3%)の増加。また、「技能実習」は 402,356 人で、前年比 18,378 人(4.8%)の増加となっている。一方、「資格外活動」(留学を含む)は 370,346人で、前年比 2,548 人(0.7%)減少となっている。
1.労働者数が多い上位3資格
@身分に基づく在留資格(注2) 546,469 人 (全体の 31.7%) 〔前年 531,781 人〕
A技能実習 402,356 人 (同 23.3%) 〔同 383,978 人〕
B資格外活動(留学含む) 370,346 人 (同 21.5%) 〔同 372,894 人〕
(注2)「身分に基づく在留資格」には、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」が該当する。
2.増加率が高い上位3資格
@特定活動 45,565 人 [前年比 10.9%増] 〔前年 41,075 人〕
A専門的・技術的分野の在留資格(注3) 359,520 人 [同 9.3%増] 〔同 329,034 人〕
B技能実習 402,356 人 [同 4.8%増] 〔同 383,978 人〕
(注3)「専門的・技術的分野の在留資格」には、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職 1 号・2 号」、 「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興行」、「介護」、「技能」、「特定技能」(注4)が該当する。
(注4)特定技能資格者:2019年4月に新たに施行された在留資格で、出入国在留管理庁が公表している特定技能外国人数は令和2年9月末時点で 8,769 人