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2008年11月14日

新指導要領のこと 【3】

次は、新指導要領の理科についてです。



■理科


小学理科では、各学年とも新規事項が増えます。
授業時間数増加に伴い、実験の回数を増やし、理科に対する興味を生徒に持たせるようにするようです。その目的は、「子どもの理科離れ」を減らしていくことです。


◇小3

・光の性質
・磁石の性質
・電気の通り道
・昆虫と植物
・太陽と地面の様子

≪新規内容≫

・風やゴムの動き
・物と重さ
・身近な生物の観察


◇小4

・電気の働き
・空気と水の性質
・金属・水・空気と温度(水の状態変化)
・季節と生物
・天気の様子(水の自然蒸発)
・月と星

≪新規内容≫

・人体の作りと運動(骨と筋肉)
・1日の気温の変化(小5から移行)


◇小5

・振り子
・物の溶け方
・植物の発芽・成長・結実
・動物の誕生
・流水の働き
・雲と天気の変化

≪新規内容≫

・上流と下流の違い
・電流の働き(電磁石・鉄心・極)


◇小6

・燃焼の仕組み
・水溶液の性質(酸性・アルカリ性・中性)
・人体の作りと働き(呼吸・消化・血液循環)
・種子植物
・生物の観察
・火山と地震
・化石

≪新規内容≫

・電気の利用(発電・蓄電・電気の変換)
・臓器の存在
・種子を作らない植物
・月と太陽
・てこの原理(小5から移行)



◇中学理科


中学理科の大きな移行は、
「酸化と還元」(中3→中2)
「生物と細胞」(中3→中2)
「酸とアルカリ」(中1→中3)
「衝突」(小5→中3)
です。

生物と化学の中でも、入試に頻出される単元だけに、指導される先生方の戸惑いがあるかもしれません。

また、小学理科同様に、新規事項の導入が目立ちます。
新規事項というよりは、「旧単元の復活」の印象が強く感じられます。
目新しい単元があるのではなく、なじみのある単元が導入されます。
文章表現は現代風にアレンジされるだろうが、問題の本質は変わらないと言えます。

公立高校の入試問題は、テスト範囲が広がったことで、基本事項の中心の入試問題が多くなり、そこまで難易度の高い問題は出題しづらくなる様子です。

しかし、理数科を持っている高校の入試などは、難易度がさらに高くなる可能性があると言う声があるようです。
テスト範囲が広がった事で、深く広い学習をしていなければ対応できないと考えられます。



◇中1

・力と圧力…圧力
・光と音…光の反射と屈折、凸レンズ、音
・物質の姿…身の回りの物質、気体の発生と性質
・水溶液…溶解、溶解度と再結晶
・状態変化…状態変化、沸点、融点
・植物…花のつくり、葉・茎・根・種子植物、生物の観察
・火山と地震…火山、火成岩、地震、地層

≪新規内容≫

・力と圧力…力とばね、質量と重さ、水圧、浮力
・物質の姿…プラスチック
・植物…種子を作らない植物


◇中2

・電流…回路、電圧、電流、抵抗、オームの法則、静電気、磁界、電磁誘導
・物質…物質の分解、原子、分子
・化学変化…化合、質量保存の法則
・動物…消化、呼吸、血液の循環、排出、刺激と反応、脊椎動物、無脊椎動物
・天気…気象観測、霧や雲、前線

≪新規内容≫

・電流…電力量、熱量、電子、交流
・物質…周期表
・生物の変遷と進化…生物の変遷と進化
・天気…日本の天気、天気の動き、海洋の影響
・化学変化…酸化、還元、化学変化と熱(中3から移行)
・生物と細胞…細胞(中3から移行)


◇中3

・運動…力のつり合い、運動の速さと向き、力学的エネルギー
・エネルギー…エネルギー資源
・科学技術と人間…科学技術の発展
・水溶液…水溶液の電導性
・生物…細胞分裂、生物の成長
・生物と環境…自然界のつり合い
・自然と人間…自然の恵みと災害
・天体…自転、公転、日周運動、年周運動、太陽系、恒星、月、惑星

≪新規内容≫

・運動…力の合成・分解、仕事とエネルギー、仕事率
・エネルギー…熱の伝わり方、エネルギー交換効率、放射線
・科学技術と人間…自然環境の保全
・イオン…原子の成り立ちとイオン、電子、原子核、化学変化と電池
・生物…遺伝、遺伝子、DNA
・生物と環境…地球温暖化、外来種
・天体…日食、月食、銀河系
・運動…衝突(小5から移行)
・酸とアルカリとイオン…酸・アルカリ・中和・塩(中1から移行)


イオンが戻ってきたんですね〜。

あと、時代ですね。
「地球温暖化」。
そして「外来種」についての学習もあるようです。
「ワニガメ」なんかも出てくるのかな?
「ブラックバス」や「ブルーギル」などについても、詳しく勉強させて欲しいなと思います。

2008年11月13日

新指導要領のこと 【2】

新指導要領の『教科別カリキュラム』について、載せておきます。

まずは、大きく変わる算数・数学について。


■算数


 新指導要領では、「繰り返し学習」がポイントとなる。



・『計算』…小学5年までに整数・小数・分数の計算をほぼ終了させ、小学6年生で計算の応用に取り組む。

・『分数』…小学2年から慣れさせ、仮分数の計算も多く導入する。

・『小数』…小数第2位までの四則計算を入れ、円周率の計算にも対応できるようになっている。

・『図形』…中学も含めて、全体的に前倒しを図る。立体の体積、線対称や点対称なども小学6年で学習する。

・中学からの移行…文字式については、小学6年で簡単に学習する。そのため、小学3年から□を用いた式の計算をしていく。また、中学校で標本調査を導入する事から、小学6年に度数分布を取り入れている。

他にも、場合の数を小学6年に取り入れているなど、数学から算数への移行が多く実施される。


◇小1

・1〜100までの数
・1〜10までの加減
・体積の比較
・立体図形の観察

≪新規事項≫

・長さ、面積の比較
・平面図形の観察
・絵や図を用いた数量の表現
・時刻の読み方(小2より移行)


◇小2

・100〜10000の位までの数
・100の位までの加減
・九九
・1桁×2桁の計算
・長さの単位(m、cm、mm)
・三角形、四角形
・式による表現(加乗減)
・簡単な表やグラフ

≪新規事項≫

・簡単な分数(30年ぶりに復活)
・体積の単位(l、dl、ml)(小3から移行)
・時間の単位(日、時、分)(小3から移行)
・正方形、長方形、直角三角形(小3から移行)
・箱の形(小3から移行)


◇小3

・簡単な割り算
・そろばん
・長さ(km)
・重さの単位(g、kg)
・時間(秒)
・時間の計算
・式による表現(除)
・表や棒グラフ

≪新規内容≫

・10000〜1億までの数
・1000の位までの加減
・2桁×3桁までのかけ算
・重さの単位(t)
・□を用いた式
・1/10までの小数とその加減(小4から移行)
・同分母の真分数とその加減(小4から移行)
・二等辺三角形・正三角形(小4から移行)
・角(小4から移行)
・円と球(小4から移行)


◇小4

・億や兆などの数
・およその数
・2桁の割り算
・そろばん
・面積の測定(cm3、m3、km3、a、ha)
・正方形と長方形の面積
・角度
・折れ線グラフ
・四則混合計算
・( )を用いた式
・資料の分布

≪新規内容≫

・1/100までの小数の加減
・ものの位置の表し方〔グラフの読み取り?〕
・□や△を用いた式〔方程式の原型?〕
・四則計算の見積もり(小5・6から移行)
・小数×整数、小数÷整数(小5から移行)
・同分母分数(真分数・仮分数)の加減(小5から移行)
・平行と垂直(小5から移行)
・平行四辺形、ひし形、台形(小5から移行)
・四則計算の性質(小5から移行)


◇小5

・奇数と偶数
・整数と小数の記述法
・1/100までの小数の乗除
・分数×整数
・分数÷整数
・三角形・平行四辺形の面積
・図形の性質
・円周率
・簡単な比例
・2つの数量を調べる
・百分率
・円グラフや帯グラフ

≪新規内容≫

・素数
・ひし形、台形の面積
・多角形・正多角形
・約数と倍数(小6から移行)
・異分母分数(真分数・仮分数の加減)(小6から移行)
・体積(小6から移行)
・平均(小6から移行)
・単位あたり量の大きさ(小6から移行)
・図形の合同(小6から移行)
・角柱や円柱(小6から移行)


◇小6

・分数の計算
・およその面積
・速さの計算
・比
・資料の調べ方

≪新規内容≫

・分数と小数の混合計算
・メートル法の仕組み
・度数分布
・円の面積(小5から移行)
・角柱や円柱の体積(中1から移行)
・拡大図と縮図(中1から移行)
・対称な図形(中1から移行)
・比例と反比例(中1から移行)
・文字を用いた式(中1から移行)
・起こり得る場合の数(中学から移行)



□数学

大きく変化するのは中1と中3です。
主に旧課程からの復活単元が多く見られます。
「不等式」「ヒストグラム」「標本調査」「解の公式」「有理数と無理数」「相似の面積比と体積比」など、現行教育課程では不必要とされていた単元が戻ってきた感じです。



◇中1

・正負の数
・文字を用いた式
・一元一次方程式
・平面図形の作図
・図形の移動(平行移動・対称移動・回転移動)
・直線と平面の位置関係
・扇形の弧の長さと面積
・柱体や錘体の表面積と体積
・比例と反比例

≪新規内容≫

・比例式
・投影図
・数の集合と四則(高校から移行)
・不等式(高校から一部移行)
・球の表面積と体積(高校から移行)
・関数の意味(中2から移行)
・資料の散らばりと代表値(ヒストグラム・近似値・誤差など)(高校から移行)


◇中2

・文字式の四則計算
・連立二元一次方程式
・平面図形と平行線の性質
・図形の合同
・一次関数
・確立


◇中3

・平方根
・式の展開と因数分解
・二次方程式
・図形の相似
・三平方の定理
・二次関数

≪新規内容≫

・有理数と無理数(高校から一部移行)
・二次方程式の解の公式(高校から移行)
・相似な図形の面積比と体積比(高校から移行)
・円周角の定理の逆(高校から移行)
・円周角と中心角(中2から移行)
・二次関数に関する色々な事象(高校から移行)
・標本調査(高校から移行)



大幅なボリュームアップな感じがします。

しかし気になるのは、「繰り返し学習」という言葉です。
この言葉が大義名分になって、今まで以上に「○マス計算」やら、「○文式」が奨励されていくのでしょうか・・・?

そうなれば、今まで以上に、「考えない(won't think)」、「考えられない(can't think)」子どもが増えていくような感じがしてなりません。

昨今の事件を見ても、非常に人間が無機質な感じがします。

「(殺すのは)誰でもよかった」
というコメントも目立ちます。


心の安定を欠いた教育は、沼地に家を建てるようなものです。
PCもハードが壊れているのに、どんなに良いソフトを入れても起動はしません。

大切なものは、もっと根幹にあるような気がします。
今回の指導要領の改訂が、単なる方法論の改定に終わらないようにしたいものです。

2008年11月12日

新指導要領のこと 【1】

昨日、塾の教材屋さんの教材展示会がありました。

そこで、新学習指導要領について、非常によくまとまった資料を頂いたので、このブログにも載せておきたいと思います。



2008年2月15日、文部科学省は、小中学校の学習指導要領改定案を公表しました。

現行の指導要領が掲げた「ゆとり教育」では学力が低下してきているとの批評が多く、PISAの結果からも日本の子どもの学力低下が示唆されています。
それを受けて、主用教科の授業を1割以上増やすなどを柱とした新指導要領が導入されることが決まりました。

同省は広く一般の意見も取り入れ、2008年3月28日、幼稚園、小学校、中学校の新指導要領が発表されました。


小学校における新指導要領への移行期間

2008年・・・新指導要領の『周知期間』・教科書は編修中
2009年・・・『移行処置期間』・教科書は検定予定
2010年・・・『移行処置期間』・教科書は採択され、供給予定
2011年・・・『全面実施』・新課程の教科書が使用されます。


中学校における新指導要領への移行期間

2008年・・・新指導要領の『周知期間』
2009年・・・『移行処置期間』・教科書の編集が始まります。
2010年・・・『移行処置期間』・教科書は検定予定
2011年・・・『移行処置期間』・教科書は採択され、供給予定
2012年・・・『全面実施』・新課程の教科書が使用されます。


ご覧のように、小学校が2011年から新規課程に全面突入するのに対し、中学校は2012年からと、1年のズレがあります。

可哀想なのは、2012年に中3になる子たちでしょうね。
一応、移行処置期間は、別冊補充教材が配られるとはいえ、新規課程に変わってしまったら、「習ってない」なんてことが沢山出てくると思います。

英語の教科書の前の改訂のときも、フォローが大変でした。
教科書では、前の学年で習ったものとなっていても、
実際には習っていない単語が結構あったりしました。





●●●新指導要領のポイント●●●


■算数・数学・理科■

2009年から移行処置が始まります。
移行処置期間中は、教科書と別冊補充教材が配られ、授業を実施します。
その理由は、今回の新指導要領の最重要事項が、理数系科目の強化になっているからです。強化の内容に関しては、旧課程で取り上げられていた事項を多く復活させ、さらに新規事項も加えたことにあります。
教える内容が増加したため、授業のコマ数が1割以上増加することになります。


■英語■

2009年度からは小学5・6年生で授業を実施しても構いません(各校の判断による)。
全面実施は2011年度からです。

「小学英語」の正式名称は『外国語活動』。
しかし、新指導要領の中に「英語を取り扱うことを原則とする」という文言があるため、結果的には「小学英語」という呼び方が定着すると思われます。

小学英語のポイントは、「英語でコミュニケーションをする」ということです。
コミュニケーションとは、例えば、挨拶、自己紹介、買い物、食事、学校での学習や活動、地域行事、遊びなどを表しています。小学生の内に英語の音声と基本的な表現を学び、中学での筆記を実施していくことが狙いです。

小学校の指導体制は、できるだけネイティブスピーカーを活用することとなります。加えて、CDやDVDの視聴覚教材も使用していく予定です。



中学英語では、現行の指導要領は英語が聞き取れて話せればよかったのですが、新指導要領になると、それに加えて読み書きも重視されます。

また、筆記体の指導も可能となるので、学校によっては筆記体での指導が中心になるところも出てくると考えられます。

必修単語数は、現行の900語から1200語に増加します。その主旨は、単語数を増加させて、生徒の表現力を多様化させることにあります。
それに伴い、連語や慣用表現の学習も増加します。
つまり、英文法を強化し、英語力の底上げを図るのが目標となります。

英語の長文読解は中学生にとって難問とされているので、日本の伝統文化や自然科学など親しみやすい題材で、長文読解に対する抵抗感をなくすことが目的とされます。

「to不定詞」「動名詞」「受動態」「関係代名詞」は必修化になるなど、学習範囲が大きく広がります。

このことから、高校入試問題は、徐々に難易度が高くなってく可能性があります。
新出単語が増えるので、暗記事項が増加する事は間違いありません。
英文法も今後は英語の学習方法を模索していく必要があると思われます。



■国語・社会■

2009年度から徐々に授業時間数を増やしていく予定です。
小学校では2011年度、中学校では2012年度から新指導要領の全面実施を行います。


現状では、土曜の授業の実施はしないそうですので、平日の授業数が増えるようになると思います。

でも、どうでしょうね。
今は、クラス運営がキチンと出来ていて、授業が成り立っているところがどのくらいあるのか、少し疑問です。先日も、学区の中学校に授業見学に行って、様子を見てきたばかりです。

先生は、黒板と教科書しか見ていない人もいらっしゃいましたし、生徒も1時間中、消しゴムをカッターで切り刻んでいた子、机に落書きしている子、手紙を一生懸命書いている子、後ろを向いて話をしている子もいました。

保護者や地域の人たちが居る状況でさえ、そんな感じです。

そんな状態で、「やること」だけが増えていっても、結局未消化になっていくように思えます。

「ゆとり」を謳ってる現在でさえ、必修内容が充分に定着しているとは思えません。

指導要領が改定になると、この傾向は益々大きくなるような恐怖感を感じます。

微力ながら、子ども達の心に添っていきたいと思います。