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少年院で命の授業〜新聞記事から[2008年05月12日(月)]

共同通信の宮城記者が、3月12日の美保学園での「命の授業」に同行取材してくださった記事が5月9日山陽新聞夕刊に「ニツポンの現場 記者がゆく」として掲載されていましたので、以下引用します。

■少年院で命の授業 犯罪で息子亡くした備前の市原さん■
 「あなただけの未来ある」

犯罪で奪われた18歳の息子のぬくもりと思い出を胸に、子どもたちに命の大切さを訴え続ける母親がいる。備前市の市原千代子さん(54)。続発する少年の凶悪事件。軽視され、もてあそばれる命。「子どもたちを被害者にも加害者にもしたくない」。市原さんが少年院で開いた「命の授業」に同行した。

「皆さんと同じぐらい。生きていたら27歳です」。3月、鳥取県米子市の少年院「美保学園」。市原さんは一枚の写真を手に25人の少年たちに話し掛けた。次男の圭司さんが、人懐っこい笑顔でVサインをしていた。

圭司さんは1999年3月、知り合いの少年ら三人に集団暴行され亡くなった。原因はささいなことだった。腫れ上がった顔。踏み付けられたのか、額に靴の跡が残っていた。市原さんは正視できず、ずっと足をさすっていた。

流産と死産を繰り返してやっと授かったのが圭司さんだった。高校二年の時、学校で友だちに暴力を受けたのをきっかけに不登校になった。「資格の取れる学校でやり直したい」。事件は、生きる目標を見つけてきた直後に起きた。

「両手を合わせて握ってみてください」。背筋をぴんと伸ばし、姿勢を崩さない少年たちが気になった市原さんは、優しく呼び掛けた。

「温かいでしょう。その手はいつか好きな人の手とつながり、新しい小さな手とつながる。でも、息子の命を奪ったような暴力を振るうこともできる」。少年たちは次第に話に引き込まれた。

「もがき苦しんでいた息子にも生きていれば未来があった。どんな状況に置かれても生き抜いてください。つらいこと、悲しいこともあるけれど、あなただけにしかない未来がきっとあるから」。一時間の講演が終わるころ、握ったままの少年の手は赤くなっていた。

「自分や息子と同じ思いをする人を二度と出したくない」との思いで活動を始めた。当初は受け入れてくれる学校は多くなかった。「子どもたちの心に波風を立てたくない」と、断られたこともあった。

犯罪被害者を支援する民間非営利団体(NPO)の協力もあり、軌道に乗ったのは最近だ。この一年は約20校で子どもたちと向き合った。

少年院は初めてだった。あえて「罪と向き合え」とは言わず、ただ「生きて」と伝えた。「大人が考えた答えを押し付けたくない。しんどくても自分で考えてほしかったから」と市原さん。

講演を聞いた少年は感想文にこんな言葉をつづった。「人をぼろぼろに傷つけたこの手が恐ろしく、憎い。この手でも、生きていれば人を助けることもできる。圭司君の分まで生きて生きて生き抜こうと思います」

圭司さんを暴行した三人は社会復帰した。二人は年に何度か、市原さんを訪ねてくる。会うのはつらい。「亡くなった命は戻らないのに、償いって何だろう」。答えは出ない。でも彼らが、奪った命と一生向き合ってくれたなら、それが答えなのかもしれないと思うこともある。

命の授業を初めて取材したのは2006年冬だった。話を聴くたびに市原さんの悲しみがずしりと胸に響く。「事件から長い時間を経て、初めて伝えられる思いがある」と市原さんは言う。失われた命の重さを感じ、伝えるために、必死で生きている残された人たちの声に、ずっと耳を傾けていきたい。

■犯罪被害遺族の講演活動■

犯罪被害者の遺族が教育現場で命の大切さを伝える取り組みが注目されている。2000年の「全国犯罪被害者の会」(あすの会)発足などを契機に、被害者の置かれた立場への社会的な問題意識が高まったことも背景になっている。警察庁は本年度から、遺族に依頼して中学校や高校で講演してもらう「命の大切さを学ぶ教室」を始めた。山形、群馬、京都、岡山、沖縄の5府県でモデル事業として開かれ、全国に波及することが期待されている。












法教育と命の授業[2008年05月08日(木)]

昨年12月に市原さんと代表が大阪府立松原高校に出向き、「くらしの法律知識」の時間の一こまをいただき、市原さんの命の授業をさせていただきました。

法教育の中の3つの柱の一つとして「罪と罰」が掲げられており、裁判のことだけでなく、犯罪被害者のことにも話が及び、あすの会へ担当の先生が講演依頼をされたのがきっかけでした。

これまで法教育の授業には弁護士や司法書士が出向くことが多く、消費者被害の問題や契約の話をするか、刑事弁護の意義などについて語ることも裁判員制度を前にして多くなっているようです。

ところが、犯罪被害者の声を生徒たちが直接聴くということは法教育のなかには、まだ位置づけられていません。しかし、裁判員制度、被害者参加人制度などが導入されていくなかで、犯罪被害者のおかれている状況と現在の諸制度の矛盾点、そして犯罪被害者の人権について、きちんと理解することは不可欠だと思います。

そうしたこともあって、昨年12月に松原高校におじゃましたわけですが、今年度は岡山でもこうした実験的な取組みに協力してくださる学校を募集していくことにしました。

幸い、地元の教育助成財団である福武教育文化振興財団が助成金を決定してくださっており、また期待も高いので、是非がんばりたいと思います。

きょうは、協力校募集の案内を教育事務所、教育委員会にお送りしました。すぐには難しいかもしれませんが、問題提起だけでもできたらと思います。








大阪府立松原高校・くらしの法律知識(2008年度指導計画)






5月の講演予定(命の授業)[2008年05月01日(木)]

新年度もそろそろ本格的に動き出し、県内外から講演依頼が続いています。

NPOとして、犯罪被害者遺族が事件を思い起こして語ることの心の負担の大きさは理解していますが、それにもまして先日の本村洋さんの会見で触れられていた心の奥底からの「思い」、これ以上被害者も加害者もうまない社会づくりに向けて何ができるかをそれぞれが感じて動いています。

決まっている5月の予定は以下のとおりです。

5月20日(火) 県警内部研修で
5月21日(水) 大学・心理学科ほかの学生を対象に (協働事業)
5月26日(月) 中学校で (協働事業)
5月27日(火) 高校で (協働事業)
5月29日(木) 市町村人権教育担当者・公民館職員等を対象に
5月30日(金) 少年を守る母の会にて

6月は山形、群馬からの依頼があり、伴走ボランティアとともに出向く予定です。





福武教育文化振興財団の教育研究助成[2008年04月27日(日)]

嬉しいお知らせです。

昨年度1年間、犯罪被害者遺族が学校・地域に出向き、「子どもたちを被害者にも加害者にもしないために」と題して「命の授業」を20校近くで実践しました。

今年度は、一部県からの補助金も決まり、継続して実践を続けていくわけですが、実践の中からの大切な「気づき」が昨年12月の大阪府立松原高校での「くらしの法律知識」(法教育)に出向いたときにありました。

裁判員制度や被害者参加制度を前にして、法教育の観点からも、学生たちに犯罪被害者が直接声を伝えることの意味を感じたのです。

閣議決定された犯罪被害者等基本計画においても生命尊重教育、犯罪抑止教育とともに法教育の視点も掲げられています。まさに現場では何から始めたらよいかわからない、というのが正直なところではないでしょうか。

今回、地元の歴史ある福武教育文化振興財団からNPO申請の「遺族による命の授業(命の教育・法教育)の実践と展開に向けて」に対して教育研究助成(人間力の育成)をいただくことになりました。

とても励みとなり、また力をいただくことになりましたので、NPOとしてもしっかり活動にいかしたいと考えています。



福武教育文化振興財団・2008年度教育研究助成審査結果






毎日新聞に掲載されていました[2008年04月21日(月)]

4月10日の矢掛中学校での「心と命の教育活動」について、16日付けの毎日新聞に掲載されていました。

こうした学校の取組みと連動して、「いのちの大切さ」を伝えていくことができたらと思います。


毎日新聞(きびの学び2008.4.16)





「生きる力」[2008年04月15日(火)]

学校で保護者向けの新学習指導要領のパンフレット「生きる力」が配布されました。

犯罪被害者等基本計画の具体化の視点からパンフレットをざっと見渡しました。

冒頭、

「学校で子どもたちの「生きる力」をよりいっそうはぐくむことを目指します」とあります。

そして、最後の方に、

「子どもの発達に応じて、あいさつ、規範意識、自他の生命の尊重、社会への主体的な参画などについて指導します」

とあります。

おそらく学校だけでなく、地域とともに取り組む課題だと思い、NPOとしても今年度の「命の授業」に取り組むつもりです。

硫化水素自殺、少年犯罪が続くなかで、本気で「自他の生命の尊重」を大人たちが子どもたちとともに考え、犯罪被害者の人権についての理解を地域や学校で広めるなかで、法教育にも視野を広げて、子どもたちが「社会への主体的な参画」ができるよう、NPOとしての活動を組み立てていこうと考えています。







新年度「命の授業」スタートです[2008年04月10日(木)]

きょうから新年度の「命の授業」をスタートしました。

昨年7月から岡山県、岡山県警、岡山県教育委員会との協働事業「心と命の教育活動」として少年犯罪被害者遺族でNPOメンバーの市原千代子さんが、「子どもたちを被害者にも加害者にもしないために」と題して学校に出向き、中学生、高校生に講演を行っています。

本日、今年度の第1回目として、矢掛中学校での講演がありました。

矢掛中学校に到着して玄関を入ると10人ほどの子どもたちがずらっと並んで出迎え、それぞれの子どもたちが「こんにちわ」と挨拶をして向かえてくれました。

校長先生はじめ矢掛町教育委員会の方やスクールパートナーの方なども待ってくださっていて、皆さんと校長室で少しお話しした後、体育館で講演でした。

子どもたち、教職員、地域の方、保護者の方々、合計で400名ほどが耳を傾けてくれました。

新学期が始まったばかりで、まだ幼さの残った顔で少し大きめの制服に身を包んだ子どもたちもいましたが、どの子もとてもよく話を聴いてくれました。

矢掛中学校では、”友愛の会”という子どもたち主体のいじめ問題に取り組む会を立ち上げており、今年は”いのち”の問題にまで掘り下げていけたらとの思いで、今回の講演を一つの機会として、これから命の問題に取り組んでいきたいとのことでした。

帰りには(校長先生が職員室におられる先生に声をかけてくださったって)手の空いていた数名の先生が玄関まで出てきてくださって、それぞれの先生が「ありがとうございました」と言いながら送ってくださいました。

そういう風に今年度も多くの方々に支えられ、さらに新たなつながりも広がっていきそうなことを実感した一日でした。




あすから「命の授業」新年度です[2008年04月09日(水)]

昨年度1年間、福祉医療機構助成事業から端を発し、県・県警・県教委との協働事業となった「心と命の教育活動」が今年度も明日からスタートです。

少年犯罪被害者遺族である市原千代子さんが昨年度1年間で20校に出向いたことで、犯罪被害者支援における直接支援の場面でも大きな地域の力となっていることを感じます。

つまり、この1年間の取組みは、単に遺族が講演に出向いて終わりというものではなく、確実に、いわゆる「地域を耕す」協働の取組みとなっていたのです。

市原さんが講演に出向くことは、県警、地元警察署、県教育委員会、市教育委員会、学校、地域で連絡調整し、地域で子どもたちのいのちを考えるきっかけとなっていきました。また、知らず知らずに関係機関の顔の見える連携もできていっています。

そうした顔の見える連携は、子どもたちを守るために学校・地域で動こうとするとき、大きな力になってくれます。

あすは、市原さんは岡山県の東の端から西の端へと移動です。大変ですが、みなで支えていきたいと思います。







少年の死から9年[2008年03月28日(金)]

3月28日の山陽新聞朝刊デスクノートから。

水ぬるむ三月とはいえ、周囲を山に囲まれた備前市三石地区を流れる金剛川の水は、肌を刺すほど冷たかったに違いありません。
9年前の3月18日、一人の少年が先輩ら3人から暴行を受けた末にその川に突き落とされ、人間の尊厳を奪われた無残な死を遂げました。
少年は、市原圭司さん=当時(18)。二男を失った母親の千代子さん(54)は「おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ」などの活動に参加。刑事裁判や少年審判の改善などを訴え続けてきました。
当事者にとっては、もどかしいほどゆったりとした歩みでしょうが、2005年4月に犯罪被害者等基本法が施行されるなど、犯罪被害者をめぐる社会的状況は少しずつ変化してきました。
市原さんも昨年、県内各地の中学、高校約30校で、命の大切さをテーマに講演。学校だけでなく、警察官や裁判官、書記官、少年院の子どもたちなど、その対象は徐々に拡大しています。
講演活動を優先するため、昨年、ホームヘルパーの仕事をやめた市原さん。彼女を突き動かす原動力は、18歳のままの圭司さんの存在です。
命日の前日、自宅を訪ねました。少し髪を染めて親指を立てポーズを決める遺影に出会いました。市原さんは「あの子は友達が多く、女の子にも結構人気があったんです」と話してくれました。
その言葉は母親としての優しさと同時に、そんな息子がなぜ死ななければならなかったのかという消えることのない思いのように聞こえました。

(備前支局・二羽俊次)







■ジュリスト特集「加速する法教育」■[2008年03月25日(火)]

文献紹介です。

法律雑誌ジュリストbP353(2008.4.1)が特集1で「加速する法教育」をとりあげています。

「法務省における法教育推進の現状と展望」
       法務大臣官房司法法制部参事官 佐々木宗啓
       同大臣官房司法法制部付 大谷太

「司法制度改革と法教育」
       前検事総長・弁護士 松尾邦弘

「学習指導要領の改訂に関する中央教育審議会答申について」
       文部科学省初等中等教育局教育課程課専門官 神山弘

「としょかんライオン考〜子どもとともに法を考える」
       東京大学教授 大村敦志

「法教育に期待されていること」
       関西学院大学教授 田中成明

「学校教育から見た法教育の課題と展望」
       岐阜大学教授 大杉昭英




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