NPOのぶれないミッション[2008年05月02日(金)]
ブログ開設まる1年。
ある行政担当者から地味な活動ながらNPOとしてのミッションにぶれがないから、徐々に確実に理解が得られてきているのだと思います、とアドバイスをいただいたことがあります。
「協働」の担当を外れても、いつもNPOの活動を見守ってくれ、そっとさりげない助言をくださる、こうした理解者の存在はNPOにとってかけがえのない財産だと思います。
ちょうど昨年開設当初の記事を再掲します。私たちのミッションが明確に示されていると思います。
(2007年5月3日ブログから)
憲法記念日ですが、犯罪被害者の人権について、これまで取り上げられることは多くありませんでした。
2004年12月に犯罪被害当事者の方たちの多くの声、署名活動等により、犯罪被害者等基本法が制定され、2005年12月に258施策を含む「犯罪被害者等基本計画」が策定されました。
当事者の声が中央に集結したことが形になったといえるかもしれません。
ただ、地方においては、犯罪被害当事者の方たちは「点」として孤立しているのが現状です。大阪や東京に出向いてようやく仲間とつながることができるという声をよく聞きます。県や市町で犯罪被害者支援の窓口や施策作りが始まりつつありますが、「当事者の声」をきかないままでは施策が形骸化してしまうおそれがあります。
やっと基本法ができ、「犯罪被害者の人権」が正面からとりあげられるようになりました。地方で、いまできることを考えていく必要があります。「点」のままでは声は聞こえないままです。いま地道に「点」を「線」に、「線」を「面」にしていく取組みを当事者の方たちとともに岡山で行っています。時間はかかるかもしれませんが、支援者中心ではなく、当事者の声を大切に「犯罪被害者の人権」を確立していきたいと思います。
大阪府の先駆的事業は凄まじい成果[2008年04月27日(日)]
平成19年版の犯罪被害者白書にも紹介されていますが、大阪府の犯罪被害者支援の先駆的取組みとして、「平成19年度大阪府犯罪被害者等支援社会づくり活動事業」が3つの被害者団体に補助金を交付して行われました。
被害者支援センターではなく、3つとも被害当事者団体である点が注目されるべきです。
そして、3つの団体の成果に触れることができ、その内容の濃さに驚くばかりです。
学生ボランティアとともに、少年事件で命を失った子どもたちの追悼集会WILLを開催し、少年犯罪被害当事者の権利確立に向けて地道に活動を重ねてきている「少年犯罪被害当事者の会」。昨年のWILLも濃い内容でした。
交通死被害者の観点から見た、被害者マニュアルの改訂版を作成した「TAV交通死被害者の会」。事件後は被害者だけが情報もなく、ひとり素人で孤立した状態におかれることから、自助努力の会として仲間支援を続けてこられたなかで、被害者の視点から見た事件後の留意点をていねいにまとめておられます。以前ブログでもご紹介しました。
そして、昨日あすの会(全国犯罪被害者の会)関西集会のメンバーでもある市原さん、高橋さんからいただいた「活動の記録〜あすに生きる〜犯罪被害者の権利と回復を求めて」。犯罪被害者のおかれてきた状況をいかに改革していったか、当事者の方たちが街頭署名を行い、議会陳情を行い、犯罪被害者等基本法が制定された過程が手にとるようにわかります。この活動記録も大変内容の濃い貴重な冊子です。
いずれの団体とも、すさまじい成果を提供しており、大阪府の補助金はこのうえなく有効に用いられたと思います。
今後、こうした補助事業を積極的に拡充していくことが大切だと思います。
被害当事者は支援を受けるだけの受け身の存在ではありません。犯罪被害について一番よく知っておられるのは当事者の方たちです。当事者の声に学ぶ姿勢を各地の支援センターももっと考えなくては、補助金がむだになるだけだと思います(金はあっても何をしてよいかわからない支援センターもあるそうですから)。
大阪府ホームページから
本村洋さんの会見から[2008年04月23日(水)]
4月22日の広島高等裁判所、差戻控訴審の死刑判決を受けて被害者遺族である本村洋さんの会見詳細が報じられています。
死刑か無期かという観点でマスコミや社会は見ていたのかもしれませんが、会見内容を見ると、本村さんの視線は死刑判決のさらにその向こう側を見据えているように感じられます。私たちが日頃被害当事者とともに考え、事件後を生きていくなかで、共通する思いを感じています。そのいくつかを毎日新聞のネットニュース・毎日jpから引用します。
「死刑という大変重い判断が下されましたが、これで終わるのではなくて、私たち遺族もこの重い判決を受けて真っ当に生きていかなければいけないと思いますし、社会のみなさまにも、どうすれば犯罪の被害者も加害者も生まない社会を作るのか、どうすればこういう死刑という残虐な、残酷な判決を下さない社会ができるのかを考える契機にならなければ、私の妻も娘も、そして被告人も犬死にだと思っています。」
「死刑という問題は、法治国家にとって古くて新しい問題で、答えはないものと思います。ただ、人の命をもっとも大事だと思って尊ぶからこそ死刑という制度があった。この判決を受けて、死刑は重過ぎるという人も適罰という人もいると思います。ただ、それを論じても意味のないことで、どうすればこういった犯行や少年の非行を防げるかということを考える契機になると思う。死刑というものがなくて、懲役刑や、短いものだったりした時、だれがこの結末を注目し、裁判経過を見守ってくれるのか。死刑というものがあって、人の命をどうこの国が、法律が判断するかを国民のみなさんが一生懸命考えてくれたからこそ、これだけの世論の反響を呼んだ。当然いろんな議論があります。いずれにしても目的は安全な社会を作ること。どうすれば犯罪を減らせるか、死刑を下すほどの犯罪をなくすことができるかということに人々の労力を傾注すべきだと思う。両手放しに死刑は必要だとか、間違っていないとは言えない。常に悩みながらこの制度を維持することに本当の意味があることだと思いを新たにしています。」
「今回、最も尊ぶべきは、過去の判例にとらわれず、個別の事案をきちんと審査して、それが死刑に値するかどうかということを的確に判断したことです。今までの裁判であれば、18歳と30日、死者は2名、無期で決まり、それに合わせて判決文を書いていくのが当たり前だったと思います。そこを今回、乗り越えたことが非常に重要でありますし、裁判員制度の前にこういった画期的な判例が出たことが重要だと思いますし、もっと言えば過去の判例にとらわれず、それぞれの個別の事案を審査し、その世情に合った判決を出す風土が生まれることを切望します。」
「私は事件に遭うまでは六法全書も開いたことがない人間でした。それがこういった事件に巻き込まれて、裁判というものに深く関わることになりました。私が裁判に関わった当初は刑事司法において、被害者の地位や権利はまったくありませんでした。それが、この9年間で意見陳述権が認められましたし、優先傍聴権も認められる。例えば今回のように4000人も傍聴に訪れたら、遺族は絶対に傍聴できなかった。それが優先傍聴権があるために私たち遺族は全員傍聴できた。これからは被害者参加制度ができて被害者は当事者として刑事裁判の中に入ることができる。
そういったことで司法は大きく変わっていると思いますし、これから裁判員制度をにらんで司法が国家試験、司法試験を通った方だけではなく、被害者も加害者も、そして一般の方も参加して、社会の問題を自ら解決するという民主主義の気運が高まる方向に向かっていると思います。実際に裁判に関わって、まったく被害者の権利を認めていない時代から、意見陳述が認められて、傍聴席も確保できて、そういった過渡期に裁判を迎えられたことは意義深いと思ってます。」
(以上、部分引用)
ある意味、この9年間は、犯罪被害者の権利に目が向き始め、各種制度整備がなされ、そして犯罪被害者等基本法が制定され、という大きなうねりの9年間とちょうど重なっているのです。本村さんからの問いかけに私たち一人ひとりが何ができるかを真剣に考えていきたいと思います。
犯罪被害者にも国選弁護士[2008年04月17日(木)]
犯罪被害者が刑事裁判に「被害者参加人」として参加する制度が今年中には施行されますが、それにあわせて参加する犯罪被害者にも国選で弁護士が選任されるしくみを盛り込んだ改正総合法律支援法が4月16日参院本会議で可決成立しました。
法テラスを通して裁判所に弁護士選任を要請し、費用は国が負担するものです。
犯罪被害者の権利の具体化について、一歩前進といえます。
読売新聞(20.4.16)
法テラス・ホームページから
人権教育交流体験研修会の講師依頼[2008年04月14日(月)]
岡山県総合教育センターから平成20年度人権教育交流体験研修会の講師依頼が届きました。
昨年12月には二日間にわたり、400名の人権教育担当の先生方の研修会に代表が講師として出向きました。
その延長線上に位置する「交流体験研修」です。ちょうど夏休みですが、午前中に代表が犯罪被害者の人権について講演し、午後は時間をしっかりとって26名の研修参加者がおそらく5つのグループに分かれて、各グループに被害者遺族の方たち計5名に入っていただき、意見交換などを行うものです。
まさに膝をつきあわせて、身近で体験談に耳を傾ける交流研修なので、昨年の構想打診のときから、NPOとしても積極的に協力をしてきました。
今回、実施要項のなかに、昨年12月の講演で触れさせていただいた犯罪被害を身近な問題として考えてほしい、ということが、犯罪被害にあった遺児のことに関連してきちんと言及してありました。
つまり、犯罪被害者というと、どうしても大人を想像しますが、子どもたちは事件・事故で家族を亡くしても、すぐに学校に通わざるをえません。学校の先生方が、子どもたちの喪失や家族の置かれている状況を理解するだけでも大きな支えとなります。
そうした観点からも、県総合教育センターが犯罪被害者の人権について、積極的に取り組んでくださっていることに感謝したいと思います。
■なぜ被害者より加害者を助けるのか■[2008年04月13日(日)]
新刊書の紹介です。
■ 後藤啓二 著
「なぜ被害者より加害者を助けるのか」 産経新聞出版
平成20年3月14日 発行 ■
「第2章 犯罪被害者のおかれた現状〜加害者と比較して」は、どのような立場の意見を述べるにしても、この現状から目をそむけることはできないと思います。是非、読んでいただきたいと思います。
被害者支援の現場から、当事者が声をあげなければ、他人事として無視、放置されてしまう見過ごされやすい事実も指摘されており、少しずつ触れていきたいと思います。
少年審判の被害者傍聴認める〜少年法改正案、閣議了承[2008年03月07日(金)]
7日の閣議で、少年審判の被害者傍聴を認めるなどの少年法改正案が閣議了承され、近く国会へ提出されることになったと報じられています。
ちょうど少年犯罪被害当事者の会の武るり子さんの昨年の講演録の最終校正が終わったところだったので、本当にあと一歩のところまで、来たなという感じです。
まだまだスタートラインの一歩手前というところですから、しっかり見守りたいと思います。
産経新聞(2008.3.7)
県教委の人権教育指導資料に紹介されました[2008年02月28日(木)]
岡山県教育庁人権・同和教育課が作成した「人権教育指導資料X 人権学習ワークシート集(上)」を送っていただきました。
学校で人権教育を行うにあたり、「書く」という活動をとおして人権について考える教材ワークシートです。
いくつか掲げられている人権の一つとして「犯罪被害者の人権」が取り上げられており、参考書籍として岡山県備前県民局とNPOで共同製作の「犯罪被害についてともに考えるための手引き」が取り上げられています。
一部手引きからの引用についても協力させていただいたので、授業などで活用されることを期待します。
消せない記憶〜いのちの教育フォーラム振返りA[2008年02月24日(日)]
2月17日の「いのちの教育フォーラム」にお越しいただいた愛知・緒あしすの青木聰子さん。
一昨年10月に行政・NPO協働事業「犯罪被害者等基本計画・具体化プロジェクト」連続講座の第一回にもご協力いただき、いつも説得力のあるわかりやすいお話に圧倒されます。
今回は、前回はお聴きできなかった少年院や刑務所での講演活動に出向く思いを含めて語っていただきました。
遺族が語る思いがストレートに伝わってきたことは前回ブログで書かせていただいたとおりです。今回もたくさんの気づきをいただきました。事件後を生きるということを知っていただくうえで、6年前の番組ですが、中京テレビの下記番組がとてもわかりやすいと思い、ご紹介します。
中京テレビ・ニュースプラス1(2002.5.24)
■被害者だって笑うんです!〜少年に息子を殺された母親の11年■[2008年02月19日(火)]
少年犯罪被害当事者の会、代表の武るり子さんから本を送っていただきました。
多くの方に手にとっていただけたらと思います。
■被害者だって笑うんです!〜少年に息子を殺された母親の11年■
(産経新聞出版、半田亜季子著)
著者まえがきから
大切なわが子が殺されたというのに、相手が少年というだけで、加害少年だけが、少年法に守られ、まるで何もなかったように社会復帰している現実に愕然とし、その無念さ、疑問点を法に、マスコミに、少年たちに訴えてきた。
そして2001年には改正少年法が施行され、最近では、犯罪被害者週間ができるなど、被害者を置き去りにしない世の中の風潮も高まってきているかのように思える。
事件後11年、人に傷つけられ、人に助けられ歩んできた武るり子さんの人生を一冊の本に纏め上げることで、少年犯罪に対する意識が高まり、事件がなくなることを切に願うものである。