CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 赤い羽根・共同募金会助成交付式に出席しました | Main | 大切な人を亡くしたあなたへ »
<< 2016年02月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29          
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
オンライン寄付サイト Give One
「グリーフケア」充実を〜尼崎脱線事故3年[2008年04月25日(Fri)]

山陽新聞(2008.4.18)朝刊から

大切な人との死別がもたらす「悲嘆(グリーフ)」。107人が死亡した3年前の尼崎JR脱線事故などがきっかけで、大事故の遺族を対象にしたグリーフケアが注目を集めている。いまも深い悲しみを抱える脱線事故の遺族。母と叔母を亡くし自分も大けがをした女性の姿を通し、グリーフとは何かを考え、ケアの現状を取材した。


3年前の4月25日、脱線した電車の2両目に乗車し、大けがをした浅野奈穂さん(35)=兵庫県宝塚市。母陽子さん=当時(62)=と叔母は帰らぬ人となった。体はほぼ元通りに動くようになったが、いまも心をふさぐ深い悲しみや心的外傷後ストレス障害(PTSD)と闘っている。

わたしだけが

「わたしだけが生き残ってしまった・・・」。4日目の朝、集中治療室のベッドで二人の死を告げられた。涙があふれ自責の念に襲われた。
「何で死ぬのがわたしじゃなかったんだろう」とつぶやくと、ずっと腕をさすってくれた看護師の女性が言った。「わたしも親だから分かるけど、子どもを亡くすのは何十倍もつらい。お母さんはあなたを残してくれって望んだんだよ」。救われた気がした。
長時間、体が圧迫されたことによるクラッシュ症候群で命が危ぶまれた。左手の指以外は動かなかったが、懸命のリハビリで回復。9か月の入院生活を終え、一人暮らしを始めた。

恐ろしい夢

何度も恐ろしい夢を見た。必死に捜して見つけた陽子さんの手を握った瞬間、陽子さんの体が溶けて手の中には服だけが残る。酒と睡眠薬に頼って眠る日が続いた。
主治医に治療を勧められた。「精神科に行かなきゃ駄目なの?」。認めたくなかった。兵庫県こころのケアセンター(神戸市)を紹介された。副センター長の加藤寛医師はPTSDと診断した。
事故の恐怖と二人を亡くした悲しみが、心を縛り付けていた。「彼女の悲しみの大きさに圧倒された」と加藤医師。悲しみにふたをして「頑張ろう」と突っ張っているように見えたという。
治療が始まった。「目を閉じて。家を出てからのことを話してください」。促され、二人と出掛けたあの日を思い出す。とてつもなくつらい。泣きながら繰り返し語った。回想を録音したMDを毎日聴くよう指示された。何度も反すうして恐怖感や悲しみに慣れていく「暴露療法」。つらさから避けていた陽子さんの写真も見るように言われた。
加藤医師は「事故と向き合うのは残酷なことだが、記憶は消せない。その体験を理解し、慣れていかないと、いつまでも怖いし、悲しい。彼女は努力した」と話す。徐々に写真も見られるようになった。

生かされた意味

奈穂さんには、入院中から自分に問い続けてきたことがあった。「負傷者で遺族でもあるわたしに何かできないか」。昨年夏、テレビの特集番組に答えを見つけた。大事故の被害者に公的ケアがある米国を紹介し、日本にも必要と訴えていた。「これだ」と思った。
信楽高原鉄道事故の遺族らでつくる鉄道安全推進会議に参加した。同会議は、10月に発足する国の運輸安全委員会に、被害者支援の役割も担わせようと国などに働き掛けている。「生かされた意味があった」。活動に加わり、そう考えられるようになった。
写真を見るのはいまも苦しい。桜の花や青い空、白い雪。陽子さんが喜んだであろう季節の移ろいが悲しい。それでも一歩ずつ進み始めた。「母と叔母から託された使命。5年、10年かかってもやってみようと思う」
事故後、二匹のチワワを飼い始めた。「宝物」の意味を込めた「ジュエル」と、母と自分の名前をとった「陽奈」。二匹は大切な心の支えとなっている。

■グリーフケア

グリーフは英語で「悲嘆」の意味。主に、大切な人との死別により深く悲しむ状態を指す。悲嘆を乗り越えていくプロセスをグリーフワーク、第三者がそれを支えて見守ることをグリーフケアと呼ぶ。悲嘆が深刻化すると身体的、精神的な病気を引き起こす恐れがあるため、悲嘆からの回復を時間の経過だけに任せず、周囲が支える重要性が指摘されている。

■指針なし 現場模索

日本には大事故で家族を失った遺族の心理を研究した事例は少なく、病的な状態に陥った遺族に対するグリーフケアの指針などもない。深刻化した悲嘆のケアは、個別のカウンセリングや医療機関での治療が中心だ。専門家からは対応方法のマニュアル化を求める声もあがっている。
尼崎脱線事故を受けてJR西日本は、過去に大事故を起こした航空会社などの事例を学び、専門家に指導を仰ぐなどして、悲嘆に暮れる遺族への接し方を模索している。
試みの一つとして、グリーフケアについて知ってもらおうと、「悲嘆」について学ぶ講座を企画した聖トマス大(兵庫県尼崎市)に開講費用を寄付。昨年10月に始まった講座は300人の定員を大幅に上回る受講申し込みが殺到、グリーフケアへの関心の高さを示した。
受講生の中には遺族や一般の人に交じって、事故当時のJR西日本幹部らの姿もあった。
臨床心理士で武蔵野大学大学院(東京)の白井明美助教は「グリーフケアは日本でも看護学や心理学の分野で少しずつ広がっているが、遺族が孤立してケアの必要性に気付いていないケースも多い。鉄道会社なども遺族の心理を理解した対応マニュアルの作成を検討していく必要がある」と話している。












この記事のURL
http://blog.canpan.info/families/archive/782
コメントする
コメント
プロフィール

NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズさんの画像
リンク集

ジオターゲティング
NPOおかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ | Facebookページも宣伝