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視点を変え感謝の心を[2011年03月21日(Mon)]
フランスの哲学者アランは、「悲観主義は気分だが、楽観主義は意思である」という有名な言葉を残している。

悲しいことが起こった時、気分的に悲しくなり、その悲しい気分に浸ってしまい、事態はもっと悪くなるのではと思ってしまう・・・

典型的な悲観主義で、自然な流れかもしれない。しかし、ここで意思を働かせ、起こったことは悲しいことだけれど、きっとこれは早期に解決し、もっと良い結果に結び付くと意識的に考え、意思を働かせることが楽観主義である

(中略)

私は、ホスピス医としてこれまでに二千五百人の患者さんを看取ったが、その中にも多くの「人生の実力者」があった。例えば、客観的に見れば、幸せからはほど遠い人生の終わりに「幸せな人生でした」と言って亡くなった六十三歳の男性を思い出す。

早くに両親を失い、結婚生活で苦労し、仕事では同僚に裏切られ、ずいぶんつらい思いをした人であった。亡くなる一週間ほど前の回診のとき、「入院した時の痛みがすっかり取れました。ここへ来て本当によかったです。ありがとうございました。いろいろありましたが、幸せな人生でした。」と言われた。

この人との出会いを通して、私の「人生の実力」の定義が変わった。「どのような状況におかれても、その状況を幸せと思える力」である。最近、私の中でまた、「人生の実力」の定義が少し変わった。
新しい定義は、「自分にとって不都合なことがおこったとき、その中に自分が人間として生きている証をみることができ、その中に感謝を見出すことができる力」である。



人は自分にとって不都合なことが起こった時に、そのことにとらわれてしまう。少し視点を変えれば、その状況の中にも、多くの感謝すべきことがあるにも関わらず、不都合さのみが心を占領してしまうという弱さを持っている

物事が順調に進んでいるときには、人の底力は見えにくい。つらい、悲しい、やるせない状況、すなわち自分にとって不都合な状況になったとき、どのような態度でいられるかで、その人の「人生の実力」が決まる。その中に、人間として生きている証を見ることができ、その状況の中に感謝を見出すことが「人生の実力」につながる。人生の達人はその実力を持っている。日々の生活の中で少しずつ実力を養成したい。

(中略)

バーナード・ショーは、「経験そのものが人を成長させるのではない。人を成長させるのは経験への態度である。」と言っている。

また、神学者ピールは「私たちの直面するどんな経験も、たとえそれがどんな困難であり、絶望的に見えた場合でも、私たちがその経験に立ち向かう態度に比べれば、それほど重要ではない」と述べている。

柏木哲夫(金城学院大学長、淀川キリスト病院名誉ホスピス長)
東京新聞 2011年3月11日,12日 「人生を楽しむ(上・下)」より抜粋



★この記事に書かれていること、「視点を変え、感謝の心を持ち続ける」ことは、分かっていても継続することが難しいものです。自戒の念も込めて、特に、今の苦境に立たされた日本に住んでいる一人の人間として、今までの自分からもう一歩踏み出せたらいいなと思っています。

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