単なる戦略や理論の説明だけでなく「現場に落とし込む」という視点が随所に盛り込まれていて、マーケティング初心者・経験者ともに得られるものがあるでしょう。

戦略から実行までを可視化し、数値化して客観的に評価するための仕組みを作ることの重要性が分かるでしょう。

本書では、マーケティングに重要なエッセンスがしっかり体系的に入っているだけでなく、メッセージ性も強いので、読者が”腹に落ちて”理解することができ、実践に応用できる部分も多いと思います。

コカコーラは「リフレッシュ」、ナイキは「スポーツを愛する心」、ディズニーでは「楽しさ」、シティバンクでは「向上心」。これらは本書で書かれているブランドの「とんがった所」です。

ブランドに関する本は星の数ほどありますが、マーケティングに携わる者にしか理解できないような専門的なものと、成功したブランドを論じる本の２種類が多かったように思います。

しかし、本書は、タイトルからもお察しできるように「お客さまの心の中に出来あがるブランドは、創って行く側の”心”こそが最も大切なもの」というスタンスで書かれています。

良くある失敗は、マーケティング部門担当者が自己満足や思い込みの世界で、会社のRe-brandingをしてしまうことです。

本書を読むと、ブランドはマーケティング部門が創るものではなく、会社組織全体でお客さまとの「約束」を実行していくことだ、ということも理解出来ると思います。

マーケティングに興味がある初心者向けです。ただアメリカでのケーススタディーをそのまま日本に持ってきているので、100％消化するには少し難しい部分もあります。