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選択バイアスの罠 [2008年11月18日(Tue)]


DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー別冊12月号の「『考える技術』の教科書<プロフェッショナル養成講座>」の中の記事で、「成功事例が真実を歪める『選択バイアスの罠』」という記事がありました。

スタンフォード大学経営大学院准教授のJerker Denrell氏が書いたものですが、簡単に言うと、ケーススタディの多くは成功例ばかりを取り上げて研究して成功への方程式を導き出すことが多く、失敗の事例も取り上げて研究しないと、正しく成功要因を導き出せないというものです。

成功を収めている企業の多くに見られる経営手法を取り上げて、それが成功の要因だと思ったら、実は同じ手法で倒産している企業が実にたくさんあったということもあるということです。

う〜ん、そりゃそうだ!!と、言われてみれば当たり前の話なんですが、結構、こうしたことをやってしまってますね。ま、成功事例を鵜呑みにしないまでも、似たような過ちはしているなと思いました。

ただ、成功事例と失敗事例とを十分に研究しなくてはならないというのは理屈では分かっていても、実際に世の中で触れることのできるのは成功事例ばかりで、失敗事例はその原因などを含めて紹介されることは少なく、研究すること自体が難しいと思います。
以前、「NPO失敗大賞」という事業に助成したことがあるんですが、これは成功から学ぶ以上に失敗から学ぶことの方が大事だということから、NPOの失敗事例を集めて、特徴のある失敗事例、他の学びにつながる事例を表彰しようというユニークな事業でした 笑顔

ところが、この事業自体が失敗となってしまったのです。 困った
事務局の方々が自戒を込めて言ってましたので、実際に失敗だったのですが、先ず、多くの組織は失敗を公にしたがらないということなんですね。敢えて、他人の公開するなどという恥はかきたくないということです。ま、何とか、いくつかの事例は集まり、プレゼンを実施して審査し、受賞者決めたんですが、比較検討する事例の数としてはあまりにも少なすぎました。

ま、考えてみればそうですよね。
各地のNPOに事業の趣旨を説明し、失敗事例があれば教えて下さいと言っても、「うちは失敗してません」なんてことを平気で言ってくるNPOもいたらしいのです。

どんな組織でも、成功もあれば失敗もあるわけで、失敗のない組織なんてあるはずはないんですが、「これまでに失敗したことは?」なんて、面と向かって聞かれると、「うちにはない!!」などとプライドが先に立ってしますのでしょうかね。実際、世の中には自分のミスや失敗を認めず、それどころか自分が失敗したのは○○のせいだ!!って、環境のせいや、他人のせいにしてしまう輩もいるわけです。

成功の共有とともに、失敗の共有が大事で、成功要因を導き出すためには失敗も研究しないといけない。実際には、難しいですね。

私は、現在、人事制度をはじめとする組織のマネジメントの見直しを図っているのですが、多くの参考書や専門雑誌等で紹介されているのは、やはり成功事例。しかも、大企業の例が多く、うちのようにわずか40人弱の組織のマネジメントにそれを安易に当てはめていいのかどうか?迷うことが多いわけです。

もちろん、出来るものもあると信じています。いますが、役職員に説明するためにも、制度の強い面と弱い面の両面を説明できないといけないわけで、その上で、何故、この仕組みを選択したのか説明して、納得してもらわないといけないわけですね。

ただ、説明を聞く側にもいろんなバイアスがかかっていて、そこを突破するのが大変だな、と不安が隠せない私です。