『音楽、よ〜し!』
[2009年07月10日(Fri)]

『ALSの患者さんの移送』
を、お手伝いする事がある
「人工呼吸器の助けを借りながら
呼吸をしているALSの患者さんだ」
患者さんの症状として
『五感(視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚)』
を、司る神経には障害は見られない
意識や五感は最後まで正常で
知能の動きも変わらない。
『おはようございます〜』
挨拶をして病室に入る
患者さんは
ベッドで目を閉じて
穏やかな表情で
耳穴に『白色』のイャホーンを差し込んで
音楽を聴かれていた。
膝を折り、目線を合わせて
『失礼いたします』
『移送のお手伝いに参りました
今日は宜しくお願いします』
ご挨拶後に
ベッドからストレッチャーに移る手順を
ゆっくりとした口調で説明する
『白色』のイャホーンに触れようとした時に
『哀しい表情に変わった』「・・・・・・」
『あっ!そうだ!』
患者さんの心中は
『これから、自分はどうなるのだろうか』
真っ黒の谷底に落とされた心情だ
『心を癒してくれる
大好きな音楽を聴いていきたい』
意思表示だった
『察する、気配りが足らなくてすみませんでした』
謝ると
微笑みながら
『だ・い・じ・よ・う・ぶ・よ』
と、唇がゆっくりと動いた
『ありがとうございます』
「人工呼吸器、よし!」
「酸素、よし!」
「出発準備、よし!」
『音楽、よ〜し!』



