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フィンランド:教育で稼ぐ? [2009年09月01日(Tue)]
京都教育大学の先生に依頼されて、フィ人ランドの視察をアレンジした。知り合いがいるので、お引き受けしたのだが、なんともびっくり!
国立教育研究所や学校訪問するのに、250ユーロチャージするといわれた。知り合いのいる学校では、さすがにこれをうまくなしにする方法を考えてくれたが、彼らも、国の方針だからとすまなさそう。私は、さすがフィンランド、起業家精神があると、笑ってしまったが。

2003年の国際学習到達調査(PISA)でトップの結果をとって以来、視察団が各国から相次ぎ、教育関係者は辟易としている様子。しかし、国は、それを逆手にとって、教育が売れると見たのだろう。

私は、アントレプレナーシップ教育に関わる調査で、ここ2年ほどを除いては、1998年からフィンランドに毎年訪問していた。1998年当時は、フィンランドの教育機関を訪問する日本人など滅多にいず、訪問する先々で本当によくしていただいた。
日本の人達からも「フィンランドみたいな小さい国に何を勉強しにいくの?」という状況で、不思議そうに質問されたものだった。唯一違う人がいたとしたら、産業振興に関わる人達。フィンランドが起業支援に力を入れていることを知っておられ、あちらのサイエンスパークなどを視察していた数少ない人達だ。

それが、2003年にOECDが実施した国際学習到達調査(PISA)のテストでの成績が報道されるやいなや、世界的な注目を浴び、日本からも視察団が続々と訪れている。大臣クラスの政治家や官僚、教育関係者と、すごい数である。
ところが、受け入れ先の学校の先生がたに聞くと、日本人は視察にきても、感心はするが、「これはフィンランドだからできることですね」と最後に言う。それなら、なぜ来るの?となるのと、「日本人はなぜあんなに英語が下手なのか」と聞かれる。
フィンランドはもちろん、英語もできずに視察にくる教育関係者に、せめて、国際連携でもしたいという意思とやる気があれば、ただの訪問だけに終わらず、WinWinになるのに。。とあちらの友人に言われ、、私も返す言葉がない。

確かに、日本人がフィンランドのマネをして、取り入れたことは、表面的なことが多い。読解力が高いのは国語の本やマインドマップにあると聞けば、あちらの本を日本語に翻訳したものやマインドマップが人気を得て、フィンランドメソッドを取り入れて国語を教えているという学校まで登場。(といっても、視察したところ、大したことやってなくて、がっくりしたのだが)。PISAのテストに対応した試験も行なわれるようになってきているが、、教育の質を本当に高めたいなら、もっと他にやることあるでしょう?と思わず言いたくなる。

まずは、一クラスの生徒の数を減らす。学習困難者へのサポートを充実させる。学校では、学力向上が第一ではなく、1人の社会人として責任と義務を果たし、自立をすることをまず第一におく。そのために、教え込むのでなく学び方を教える。「なぜそうなるの?」と自分で考える授業を行う。進学するには塾で勉強するなんてもってのほかである(笑)!−ちなみにフィンランドに塾はなく、私学も宗教がらみのものを除いてほとんど存在しない。
自分の身の回りのことは、自分でできるように、技術家庭科の時間は大切にする。生徒に期待して、高い要求をすることも大事。

そして何よりも教員の質。フィンランドでは、大学の教育学部を受ける時点で、かなりの選別をする。グループ面接して、人間関係づくりに問題のある人は、教育学部に合格することができない。全員大学院まで出て、一年は現場で修行する。それでも、正規の教員として雇用去れる人は一部。給料は決して高くないが、尊敬される職業として、フィンランドではなりたい職業のトップに常に選ばれている。

日本の教育現場にいくと、まず社会人として問題がある人も多い(笑)。確かにフィンランドにいくと、落ち着いて生徒の話をじっくり聞く大人の先生が多い。かつ、ずーと同じ学校で教員している人もいれば、企業で勤めていた人が教員になったら、教員が企業で働いたりと、人の流動もある。日本では、教員は教員しかできないとよく言われ、勤務先が3年ごとに変わるけれども、異分野からの人の視点が入りにくい閉鎖的な業界だった。

ただし、フィンランドにも悪さをするティーンエイジャーはたくさんいるし、冬の長い国だから鬱になる人も多い。決して、全てばら色というわけではない。ただし、家族との時間を大事にし、職業による給与の格差が少なく、老後が安心で、日本の生活よりはるかに質が高い暮らしに見えてしまう。

政権が交代し、民主党は、文科省や教育委員会を抜本的に見直すとマニフェストに書いていた。仕事がら、ずっと教育委員会の閉鎖性と産業界とのあまりの意識の違いに、苦労をしていきたものとしては、大いに期待しているのだが。ぜひ、地方行政への権限移転と、現場の管理職への権限移転を進めて欲しい。
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