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老舗企業研究:よーじや [2009年12月11日(Fri)]
京都大学と共同実施している企業研究の関係で、「よーじや」さんに何度か取材にお伺いさせていただいた。
「よーじや」といえば、皆さん鏡に映った女性の顔をマークにしたあぶらとり紙を思い浮かべられるだろう。観光客の方が購入される京都の代表的なお土産となっている。
この「よーじや」さん、年配の人ならご存知の方も多いだろうが、もともと資生堂さんなどの化粧品や洋物雑貨等を置いておられた小売店(創業1904年)で、昭和初期の頃は京都のお嬢さんがお嫁入りのときに化粧品を一式揃えた地域密着型のお店であった。
化粧品を扱っておられる関係で、舞台芸人や映画関係者、花街の人達用に、ドーランなどの化粧品と一緒におろしていたのが、次第に口コミやマスコミなどで広まり、今の商品の形になり、1990年代に大ブームとなった。
この「あぶらとり紙」は、もともとは「よーじや」が発明したものというより、「ふるや紙」といわれる金箔打紙で古くから粋人の間で使われていたもの。純金箔を打ちのばすために何度も打ち続けると同時に和紙も叩かれ、その結果、あぶらをよく吸いとる「ふるや紙」となる。「よーじや」でも最初はこの製造方法でつくられたものを販売していたが、今は、金箔打紙ではなく、手すきによって作られた緻密な組成の特殊和紙を厳選。これを箱打機で繰り返し叩き込んで紙の繊維を活性化し、抜群の吸収力と肌にやさしい使い心地を実現しているとのこと。素材と品質にこだわり、京都のブランドをうまく生かした商品開発をしている。

この「あぶらとり紙」一時期は、「よーじや」さんの売上の8割くらいを占めるときもあったそうだが、今では、その後開発された独自ブランドの化粧品や繭製品や小物、カフェなどがバランスよく収益を構成するようになりつつあるとのこと。
観光客が京都に来るのは秋が一番多く、その次が春・ゴールデンウィークと、時期が絞られている。常時身近で使ってもらえる商品を開発したり、オフシーズンの際に、各地の百貨店の特設フェアなどで販売を行うなど、地に足のついた経営をやっておられるのには感心した。

京都の老舗企業に共通するのは、皆さん、上場してまで一気に急拡大しようとしないこと。しかし、しっかり時代をみて革新を続けている。経営陣は大きな社長室などもたず、皆さん質素で謙虚。地域の付き合いを大事にしている。
そして、京都というブランドをうまく活用し、口コミから雑誌の記事へとつながげ、ほとんど宣伝費をかけずに広報している。これは、京都だからこそできることの一つかもしれない。

最後に、前回ご紹介した福寿園と同じく、「よーじやカフェ」の高木店長は粋である。取材の後、学生や私に、「よーじやカフェ」のクッキーを送ってくださった(笑)。JRとの共同企画で季節限定のものである。おいしかったです! (写真左:よーじやカフェの人気のカプチーノ、右:いただいたクッキー) 近々銀閣寺の「よーじやカフェ」にもぜひいきたいと考えている。すごいお庭があるのだ。