不安な春 [2015年03月08日(Sun)]
「不安か?」
「…はい。」 「不安を楽しめ。 人は『自由』になると『不安』を感じる。 あなたはこれをしてください、あれをすべきです、と他人から言われる方がよっぽど楽。 何をしてもいいですよっていう状況が実は一番大変や。不安でしかない」 春休みに唐桑に長期滞在している大学生が悩んでいる。 自分は一体唐桑で何をやっているのだろう? それを明らかにするため唐桑に来たが、滞在すればするほどそれに霧がかかっていく。 長期滞在によくある現象。 ただ一旦霧で前が全く見えなくなったら、あとは晴れるのを待つだけだったりする。 「真っ白な丸い部屋にいるとする。 そこにひとつのドアがある。 『どうぞ次に進んでください』と言われると、人は迷いなくそのドアを空ける。 一方、真っ白な丸い部屋に無数のドアがついているとする。 すると…人の足は止まる。 ドアがたくさんあるときの方が、逆に人は進めへんねん。 選択の自由は怖い。責任が自分にあるからや。 自分が今不安なんは、逆に言えば、自分の前にいっぱいのドアがあるってこと。 こんなに不安で楽しいことはないなぁ」 たま〜にプレハブ小屋で始まる大学生対象活動相談室。という名目で俺が呑んでるだけ。 話している途中から、 自分自身に必死に言い聞かせていることに気づいて閉口した。 26歳になった。 20代を折り返した。 この春は、なんとも「不安」で「自由」な春である。 |